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STAX SRM-006tSとSR-L500 mk2の感想


オーディオ沼に足を踏み入れてから早数年。


自分の環境に満足しつつも新しい刺激が欲しくなってきました。


そんな時に思い出してしまったのです。


いつかのヘッドフォン祭で聴いた静電型イヤースピーカーの音を。







入手経路と価格


STAXなんて高嶺の花。と思ったけど約20万のHugo2を買っておいて今更何をって話ですね。


散々迷った挙句、無試聴で購入することにしました。基本的に試聴はするべきだと思いますが、新型コロナ的に東京行くの躊躇われるし、この手の遮音性が低い製品は店舗で試聴しても周りがうるさくて音量上げて過剰に聴こえるのが常です。


フジヤエービックで、アウトレットのSRM-006tSが64,800円と中古のSR-L500 mk2が57,900円。

これに加えてステレオミニとRCAをつなげるケーブルをエレコムで、安物だけどノイズフィルターはついてる電源タップをヤザワで用意し、合計12万円台に収まりました。


残業0時間だった場合の私の手取り月給に近づきつつありますが、STAXと考えれば安く済んだ方だと思います。





概要


SR-L500 mk2は、現行機種の中では真ん中くらいのモデルです。mk2という名の通り無印のL500の改良版です。


リケーブル可能になったり、装着感向上のために発音ユニットとヘッドバンドの間がアルミ製の新形状になったりしてます。


今回は中古購入でしたが、運良くキズもなくエージング済みくらいの感覚で使ってます。



SRM-006tSは、真空管ドライバー(アンプ)のエントリークラスといった立ち位置です。今となっては一世代前のモデルですが、STAXはモデルチェンジで音が大きく変わることもなさそうだし信頼性も高そうなので、気にしなくていいと思います。


今回はB級品とのことで、キズは有りますが見た目だけの問題でしょう。


STAXのイヤースピーカーは通常のヘッドホンアンプでは鳴らせません。スピーカー用のアンプでも無理です。


パワー不足とかではなく、根本的に発音するための仕組みが違っているのです。

つまりSTAX製品はほぼセット購入前提の上に他の環境に流用できません。

私は据え置き環境をほとんど持っていなかったので気になりませんでしたが、人によってはハードルが高いかもしれないです。

社外品のアンプやら何やらは存在しますが、自己責任ルートです。





音について


真空管とトランジスタの違い、電源の差、その他諸々で音は変わります。あくまでも私の今の環境ではこうなった、というだけの話です。

DACはHugo2です。

手持ちのDP-X1Aも試しましたが、低音再生能力と音場が全然違ったのであまり使っていません。


駆動方式が違うだけあって、他のヘッドホンとはかなり毛色が違います。


開放型ヘッドホンも平面駆動型ヘッドホン(ダイナミックドライバーの一種)も持っていますが、独特な音だと感じました。


解像度が高いというよりは音が明瞭という感覚です。

薄い振動板のおかげか、耳元で音が鳴っている感覚はしないのでヘッドホン苦手派の人でも試聴の価値はあるかもしれません。しかしそんな人はこの記事を読みません。無念。


静電型は低音再生が苦手という評価を散々目にしましたが、低音の量感は標準的なラインだと思います。もちろんドンシャリヘッドホンと比べたら少ないです。あくまでもマニア向けの「フラット」という単語が80%くらいの確率でレビューに入っている世界での標準。


先述の明瞭感の恩恵でベースの音は追いやすいですが、低音の分離は音楽としてのまとまりを失いやすい諸刃の剣。


低音に限らず曲によっては特定の音が浮いてしまうことがあります。


分離感の他にも高音が滑らかでギラついてないという特性もあり、音が少ない曲を大きすぎない音量でゆったり聴くというシチュエーションを想定して音作りをしているのかもしれないと感じました。


静電型ドライバーをツィーターにしたイヤホンは試聴したことがありますが、その時に感じた滑らかさとはまた違った印象でした。


音の一部が丸いのではなく、出てくる音全体で荒っぽさがないのです。

ヘッドホンでいえばプリンことHD598がそうですが、耳当たりの良い丸い音は解像度が犠牲になるのが普通です。


STAXは丸さと繊細さを両立しているという点で他のヘッドホンとは一線を画しています。


それがどういう結果を招くかというと、音量を上げがちになります。

ほとんどの方は同じ音質なら音量が大きい方が『いい音』と捉えてしまう傾向があります。

もちろん静電型イヤースピーカーなんて代物を本当に買ってしまう輩はそこら辺考えながら聴くとは思いますが、長期的には耳のことを考えたら音量はある程度に抑えるべきなので自制心が求められる製品でもあります。


ただし、音量を上げやすいという特徴はHugo2にも共通する要素なので上流との相性で特別私の環境がそうなっただけの可能性もあります。

同じくらいの実力のDACは残念ながら手元にありません。

音が刺さりにくいのはイヤースピーカー側の特性として確かだと思われます。





使用感


いくら静電型が特殊とはいえ、基本的には他のヘッドホンと同じです。

専用アンプも電源を入れたら入力を選択して音量を上げるだけの簡単操作です。


真空管アンプだからか起動には10秒くらいかかるし、その後も暖機運転をした方が音がいい気がします。

ポータブルオーディオの感覚でサクサク使える代物ではないです。



装着感は見た目から想像していたよりは良いくらい。側圧弱めなのでヘドバンでもしない限りは問題ないでしょう。

地味にイヤーパッドが傾斜しているので意外と頭にフィットします。

ヘッドバンドの長さは調整可能です。どのあたりが適切なのかわかりにくいですが。


注意点としては振動板が湿気に弱いことが挙げられます。

お風呂上がりの使用はNGです。

あからさまに防御力が低いので総じて取り扱いに気をつけましょう。





まとめ


静電型という個性はとても楽しいですが、これ1本でゲームも動画も全てこなすのは難しいです。

音の相性が出やすいのもありますが、取り回しが悪いので基本的にはじっとして動かない時に使うものです。

ベッドでゴロゴロしながら使うには不便かも。


見た目も虫カゴなので、人を選ぶ機種と言えます。


矢継ぎ早に最新機種が投入されるポータブルオーディオの世界に疲れたら、こういう環境でゆったり過ごすのも悪くないと思います。


引き返せないタイプの沼の気配も濃厚ですが、それもまたいいんじゃないでしょうか。

FitEar ROOMのリケーブルについて

そもそもリケーブルとは




イヤホンやヘッドホンにはケーブルを交換可能な製品があります。近年の高級機はほとんどそうです。

ケーブルが断線しても使い続けられるし、発売後に普及した物まで様々な接続端子に対応できるという地味に大切なメリットがあります。




しかしオーディオオタクとは何でも気にする生き物。

すべては『音はどうなの?』の一言に集約されていくのです。

今のオーディオ界隈にとってのリケーブルは、好きな音を追求するための手段として認識されている面が強いです。





リケーブルという言葉自体がスラングなので、人によって微妙に使い方が違います。ケーブルを交換するという行為を指す場合もあれば、交換用のケーブル自体をそう呼ぶこともあります。

こんなページにたどり着く方はネットスラングの曖昧さには慣れていることでしょう。細かいことは察してください。








試してみた




リケーブルを入手





FitEar ROOMというカスタムIEMを純正ケーブルで使っていましたが、今回はALO AUDIOのSXC24IEMというケーブルに換えました。

端子はステレオミニ。




正直なところ私はリケーブル懐疑派でした。確かに音は変わるんだろうけど、それ程大きな差にはならないだろうと。

そんな私がなぜリケーブルに踏み切ったかと言うと、某イヤホン専門店のセールで中古品が6000円になっていたからです。

『いや6000円って高くね?効果があるか疑ってる物にそんな金出すか?』と思ったそこの貴方。まだ間に合います。オーディオは程々に。





このケーブルは新品で約4万円で販売されていたようなので、実は6000円なら安い方だったりします。

FitEar2ピン端子のケーブルは少なく、新品で安い物を探したり自作したりしても似たような金額になってしまうという事情もあったりします。

MMCXや普通の2ピンなら選択肢があるのでもっと気軽に試せるはずです。






音について



全然違いました。



最もわかりやすい差は解像度で、本当に同じドライバーなのかと不思議になるくらいです。

ROOMは聴き疲れしにくい柔らかめな音ですが、シャキッとした傾向になりました。

中高域をやや抑えて低域に寄せたことで刺さりにくくなってはいますが、長時間使用なら純正ケーブルの方が適していると思います。



純正ケーブルは音源が中域に偏ると平べったくなることがあるので、音の立体感を常に高いレベルで要求するならSXC24IEMですね。



定位については純正ケーブルだと気にならないという感覚なのに対して、SXC24IEMは良いという感覚です。じゃあSXC24IEMの方がいい……とはいきません。

定位という概念は気にしだすとキリがないので綺麗に意識から外れるならその方が好ましいことも多々あります。

これも結局は音源次第。







取り回しについて


FitEar端子なだけあってコネクタ部分はある程度の強度がありそうです。

それでも頻繁に抜き差ししたくはないと感じるレベルでした。

ケーブル聴き比べはその場で交互に何往復も聴いてみるのではなく、一定期間ごとに交換するくらいに留めておきたいところです。




タッチノイズは純正とさして変わらず。ケーブルクリップとかで軽減する前提で作られているのだと思います。

純正ケーブルは癖が強くて使いにくかったですが、SXC24IEMだと多少は緩和されます。

どちらにしても一般的なケーブルよりは遥かに跳ねやすく扱いにくいです。本当にケーブルクリップは必需品。

幸いFitEarのケーブルクリップは優秀なので結果的には大した問題にはなりません。






結論




リケーブルは高級ケーブルなら変化は明確に感じられます。

ただし価格も含めて総合的に考えるならコスパは当然悪い。

あくまでも既に気に入った機種を持っている人がそこから先を目指して購入するものといったところ。

特にカスタムIEMはイヤーピースがないので安価に済む音質調整手段が少なく、耳にしっかりフィットするのでケーブルの取り回しが多少悪くても致命傷になりにくいので恩恵が大きいかもしれません。





私はHugo2ユーザーなのでステレオミニ端子のケーブルを用意しましたが、バランス接続をするために結果としてリケーブルの必要に迫られる場合の方が多数派でしょう。

ケーブルを何本か持っておくと、音の変化がバランス接続によるものなのかケーブルの差なのかを確認することができます。

今回は思っていたよりケーブルによる差が大きかったですが、当然音が近いケーブルもあるでしょうから聴いてみるしかありません。

最終的に本人が満足できる音ならそれでいいのがオーディオですが、そこに至るまでの試行錯誤も楽しいものです。






CHORD Hugo2とMojo レビュー

製品概要




並んでいるDAPはDP-X1Aです。iPhone8あたりに近いサイズ。







厚さは似たようなものだったり。






重ねてみるとHugo2の大きさがわかりますね。






Hugo2とMojoはイギリスのオーディオメーカーであるChord社から発売されたポータブルヘッドホンアンプです。



Mojoは実売5万円前後、Hugo2は実売25万円前後といったところでしょうか。

正規品でもタイミング次第ではMojoは4万円、Hugo2は20万円くらいで購入できたと思います。

ネットで検索してパッと目につく安い物は並行輸入品であることが多いです。もちろん正規品推奨です。




ポタアンとは言うものの、入力はデジタルのみ。どちらかと言えばDACですね。




Chordは据え置きオーディオにおいてはハイエンドメーカーで、自動車みたいな価格の製品も発売しています。


ポータブル製品でも価格は高いですが、ポタオデ界隈のハイエンドはバブル期のような有様なので、新製品を矢継ぎ早に投入してこないだけ良心的と言えるかもしれません。




現状ではMojoとHugo2の2機種が発売から少し年数は経つものの現行機であり、Hugo2向けの後付けユニットも今年(2020年)発売されました。







入力


デジタルのみです。


USB(microUSB)、3.5mm同軸、光接続は両機種で可能。Hugo2のみBluetoothも使えます。


これだけ接続方法があればほとんどの環境で問題なく使えるでしょう。


カタログスペックも高いので、再生できないほどの音源を持っている方はそうそういないと思われます。






出力


Mojoは3.5mmステレオミニが2つ。2つです。つまり2人で同時に音楽を聴くことができます!


……この仕様を有効活用できた人類は存在するのだろうか?(実は擬似バランス接続に使えるなんて話もありますが、やるなら自己責任で)


と思っていたら母親の配信ライブ視聴用に使った際に再生と録音を両立するために有効活用されました。奇跡。



Hugo2は3.5mmステレオミニ、6.3mmステレオ、RCAの3種類。RCA出力搭載のポータブル機器は珍しいです。据え置き使用も想定されているようですね。


この価格帯の製品としては珍しくバランス接続はできません。

バランス接続のメリットは主にクロストークやノイズの低減です。

Chord社はバランス接続のために複雑な構造にするよりもシンプルな回路の方が有利だという立場のようです。(据え置きではバランス出力も採用してるので、ケーブルの長さや電源を考慮して総合的にポータブル機には必要ないという意味だと思われ)


正直よくわからない領域の話ですが、実際に音がいいのでもうお前の言う通りでいいよという気持ちです。


個人的には良い音が聴きたいけれどバランス接続端子の覇権争いには関わりたくなかったので、シングルエンドで完結できるハイエンド製品はありがたかったです。むしろそこが購入の決め手のひとつですらありました。






音質について


FPGAとかWTAフィルターとかの理屈については省略します。


『Chordのいつものアレだろ?知ってるよ!』という方も多いでしょう。



実はHugo2にはフィルターの切り替え機能が搭載されていて、Mojoにかなり近い音を出すこともできます。予算と大きさを許せるならHugo2を買いましょう。


Hugo2はX-PHDというクロスフィード機能をオフでフィルターは白というスタンダードな設定で聴きました。


Mojoには音質切り替え系の機能はありません。



スペックはオタク心をくすぐりますが、問題は聴感上どうなのかです。

言うまでもないことですが、DACやアンプは環境の一部であり、音源やイヤホン、ヘッドホン等の影響もとても大きいです。

私はほぼアニソンしか聴かないし、イヤモニとか平面駆動ヘッドホンとか使っているので参考程度に留めておいてください。



Mojoは低音やアタック音に迫力がありますが、それらを中心に音楽全体がまとまっている感じがします。

そこが長所でもあり、もちろんそこらのスマホ直挿しなんかとは比べ物にならないくらいの水準ではあります。


しかしHugo2のボーカルの明瞭感を聴いてしまった後ではMojoは詰まっている音に聴こえてしまいます。音場感でもダイナミックレンジでもHugo2の方が広くて余裕があり、この点は兄弟機としての近さは全く感じず、エントリーとハイエンドの差が出ています。


逆に似ているのは分離の良さです。低音を土台に中域のメロディーを乗せて高音が綺麗に広がるという流れは両機種で感じました。


さらに微妙な音源でも良い感じに鳴らしてくれるのも共通ですが、これはビットレートや非可逆圧縮の問題に対しての話です。ひと昔前のロックとかで若干潰れたような音原だと可逆圧縮でも嫌な感じに耳をひっかいてくることがあります。そういう時はなぜかスマホの方がいい音だったり。オーディオわからん。



キックなどの瞬発的かつ低い音は好みが分かれそうです。Hugo2はMojoでは鳴らしきれていない音までキッチリと表現してくれますが、これはうるさいと感じる人もいるレベルになっていると思います。



(一応)ポータブルを想定するならMojoの方が向いています。Hugo2は音量を上げまくっても破綻せずに細部まで聴き取れるのですが、その繊細さが災いして環境音に邪魔されると気に障ります。Mojoは多少の邪魔が入っても自己主張してくれるので聴きやすいです。






携帯性について



Hugo2が入るポケットの服は少ないですね。仮に入ったとしても重いです。ポータブルには気合いが必要。



Mojoは単体では小さいですが、無線接続がなくDAPと重ねる必要がある上に音量ボタンの誤作動が怖いのでこれまた難しい。



『Mojo Poly』『Hugo2 2go』とそれぞれ単体プレイヤー化できるデバイスが発売されていますが、焼け石に水の予感。

DAP単体運用と併用するにはMicroSDが2枚必要になるのも痛いです。






使い勝手について




共通点


スマホなどを通信中に本体に近づけるとジリジリとノイズが乗ることがあります。DAPを重ねる際は注意。


バッテリーは公称通り連続再生7時間くらいだと思います。音質にこだわったバッテリー機器としては普通くらいかと。


バッテリー残量や音量などの情報を光るボタンの色で表示してくれるゲーミングDACなので慣れるまではわかりにくいです。慣れれば気になりません。


充電用と再生用でUSB端子が2つあるので充電しながらUSB入力ができます。


しばらく入力がなかった時は自動で電源を落としてくれます。親切。


音量はデジタルボリュームで、電源を落とした時の音量を記憶していて次回起動時にも音量が変わりません。

能率の異なる機器での事故が起こりやすい代わりに、いつも一定の音量で使うなら便利です。電源を落とす前にボリュームをゼロにする癖をつけおくと安心です。



出力インピーダンスが低いため、インピーダンスが低いイヤホンもつなぎやすい……とはいかず、鳴らせるけれど音量を制御しにくいという事態に。

特にHugo2を高感度イヤモニで使うならリモコンでボリュームを1段階ずつ上げていかないと急に爆音になりかねません。




Mojo


発熱が激しいです。あまりにも温度が上がると回路保護のため自動で電源が落ちます。夏場に充電しながら再生とかしなければそこまでは上がりません。



大きめの音量ボタンを押しっぱなしで音量が変わり続けるので、取り扱いを間違えると最大音量で誤爆する可能性があります。

その場合は高出力が裏目に出てイヤホンか耳がぶっ壊れます。



小さいのにゴム足つきで机上で滑りません。DAPと重ねる時にも役立ちますが、誤爆防止のため音量ボタン側をDAPと接触させてゴム足を無駄にするのがオススメです。



余計なボタンがないので機械音痴の人にも貸しやすいということも地味な長所。




Hugo2


持ち運ぼうとさえしなければ優秀です。


リモコン付きなので本体の光るボタンの意味を記憶する必要すらありません。このリモコンが便利で、ほぼ全ての操作が可能です。



音量ボタンはMojoとは違った問題を抱えています。

光る球体をくるくると回すことで音量を変えるというロマン仕様なので、微調整が難しかったりどっちに回すと音量が上がるのかわからなくなったりします。

最大音量での誤爆リスクは減りましたが普通に使いにくいのでリモコン推奨です。



発熱はしますが、Mojoに比べればかなり温度が抑えられています。



Bluetooth入力があるので気軽にYouTubeとか見るのにも使いやすかったりします。



半据え置きとして見た場合、バッテリー駆動なのでノイズ対策が基本的に不要で、店頭に持ち込めばほぼ自宅と同じ環境でヘッドホンの試聴が可能というあたりも地味な長所です。


充電し続けるとデスクトップモードになり常時電源オンで使用できます。

丸一日くらい必要なのと、結局スタンバイしてるだけの時間が長いので使ったことはないけれど人によっては役立つかもしれません。


デスクトップオーディオにおいては他の機器と電源の取り合いをしない上に邪魔な時は気軽に動かせるのも嬉しかったりします。



RCA出力で小型スピーカーを鳴らしてみたところ、それほどボリュームを上げなくても音量が取れました。

Hugo2で鳴らせないヘッドホンは恐らく存在しないと思われます。






まとめ

 

ハイエンドという言葉はコスパの対極にあるものです。Hugo2にMojoの5倍の価値があるかと聞かれたら「ない!」と断言します。



それでも聴いてみたら欲しくなっちゃった人だけが買うのがHugo2です。



Hugo2を購入してからすっかり出番の減ったMojoですが、むしろMojoでさえ「音はいいけど値段が……」という部類の製品だと思います。なにせ音が出るだけの機能なのにPS5とほぼ同じ価格です。


じゃあなんで両方買っちまったんだ?という話ですが、やっぱりお気に入りの音楽をいい音で聴くと幸せなんです。推しの声は特別なのです。



高額なので試聴必須なのはもちろんですが、正直音については一定の期間使ってみないとわからない面もあります。

騒がしい店内での短時間の試聴と自室でゆったりと聴いてみた時では印象は違います。

せめて使い勝手くらいは事前に考えられるように……ということで音以外の要素が多めのレビューでした。



とりあえず買って後悔はしてません。



MSA-380Sの感想、レビュー

今回の記事はVECLOSのMSA-380Sというアクティブスピーカーです。








VECLOSというブランド名に聞き覚えがなくても、THERMOSという社名はご存知でしょう。水筒とかタンブラーとか作ってる、あの会社です。
ここ数年、イヤホンやヘッドホン、スピーカーといったオーディオ製品も作っているようです。
というのはこの記事を書き始めた当初の話。なんと、サーモスがオーディオからの撤退を発表しました。という訳で供養として書き上げた次第です。



紛らわしいと思うので先に解説しますが、VECLOSから発売されたスピーカーは4種類あります。


1つ目はSSA-40。エントリーモデルで、価格も見た目も他と被らないので問題なく認識できます。1万円くらいで売られていて、在庫売り尽くしセールで2千円くらいが底値だったと思います。


2つ目はSPW-500WP。こちらは音楽よりも動画鑑賞向けです。これまた見た目は特徴的。価格は3万超ってところ。でしたが半額に。


ここからがちょっと戸惑います。
3つ目はMSA-380Sで、4つ目はSSB-380S。
このふたつは見た目がほぼ同じです。というのも、(恐らくですが)スピーカーユニットそのものは完全に同じ物を使用しているからです。
両者の差は入出力の仕様だけと思っていいでしょう。

MSA-380SはDTMなど、音楽制作目的の業務用モニタースピーカーとして開発されています。ぶっちゃけモニターだとか何だとかは名乗ったもん勝ちで、特に音がどうこうという訳ではありません。
アンプを搭載しているアクティブスピーカーで、DACは非搭載です。


一方で、SSB-380Sはコンシューマー向けです。
デジタル入力に特化していて、接続はBluetoothとUSBのみです。
ヘッドホンアンプ機能もあるので、1台でデスクトップオーディオ全般を担う製品です。


値段はMSA-380Sが約8万円で売られているようです。発売当初は倍くらいだったみたいなので、かなり落ちてます。今は更に落ちてるかも。
SSB-380Sはまだ発売からまだ1年半くらいなこともあり、約15万円……でしたが、売り尽くしセールで約6万円まで値下がりしました。


製品画像では区別しにくくなっているのでご注意ください。





音質について


私はスピーカーを買うのは初めてなので他の製品との比較はあまりできません。
MSA-380S自体はバランス接続仕様ですが、シングルエンドでも問題なく使えます。


音が前から聞こえます。ふざけている訳ではなく、テレビのスピーカーだとそこら辺で音が鳴っているという感覚なのに対して、MSA-380Sはハッキリとここから音が聞こえると認識できます。
T.M.RevolutionのSummer Blizzardのような激しい左右振りの曲が特にわかりやすかったです。イヤホンやヘッドホンでは音の動きを空気として捉えられないので、この曲の良さを引き出すには物理的な限界がありました。左右の動きがある中でもボーカルはぴったり真ん中に定位していて、ぼやけることがないです。

スピード感のある電子音はハキハキと鳴らしてくれるので、低域重視でない曲なら相性は良さそうです。
オーケストラやロックなど、迫力を求められるジャンルにはあまり適していません。ロックでも音が軽めならギターやスネアをうまく響かせてくれるので良いかもしれません。


周波数特性に極端な偏りはないと思います。モニターという文句の通り低音は控えめ。ですが低音は音量やセッティングで変わりやすい部分なので環境次第かと。
バスレフ型で後方が空いているタイプのスピーカーなので、壁との距離がかなり重要です。


高音は得意ですが、シンバルの響きなどは少し人工的な音になりがちです。
ボーカルは細かい表現までしっかり拾えるので、そこら辺の特性を踏まえてモニタースピーカーを謳っているんだと思います。





パッシブスピーカーとしての使用



MSA-380Sの特徴として、アクティブスピーカーではあるもののアンプとスピーカーユニットが完全に分離しているという点があります。土台部分にアンプが入っていて、そこからケーブルで上のスピーカーに接続する形式です。スピーカー端子はバナナプラグです。
つまり、本体のアンプを無視して他のアンプからケーブルを接続して鳴らすことが可能です。






パッシブスピーカーとしても使用できるということで、私はCHORD社のHugo2というポタアンを接続しています。
本来はラインケーブルとスピーカーケーブルは違うものですが、今回はスピーカーユニットが小型だし問題ないだろうという判断でRCA出力⇔バナナプラグのケーブルで鳴らしてます。こんな変な端子のケーブルはなかなか市販されていないですが、片側がRCAのケーブルを適当に用意して反対側を切り落としてオーディオテクニカあたりのバナナプラグを取り付ければ、はんだ付けもせずに自作(?)できます。


本体アンプだと電源を入れた時点で多少のノイズがありますが、Hugo2だとまったくノイズが聞こえません。
予想に反して音量もあっさり取れました。かなり近い距離で聴いているとはいえ、低能率で鳴らしにくいヘッドホンと大差ないボリュームで足ります。
音の傾向としては、基本フラットでかまぼこ要素もあるという印象です。オンキヨーのIE-C2みたいな全帯域を見通せるように調整された音の系統ではありつつ、低域を絞って高音も主張しないように抑えてあります。
モニターとは言っても音楽全体よりはボーカルに焦点を合わせた環境です。
音楽に包まれているような広い音場感とかはないです。定位は明瞭。このあたりの特性は本体アンプとHugo2でそれ程の差はないように感じました。
音の分離は優秀ではありますが、多人数ボーカルかつ音数が多い曲はヘッドホンに分があります。一方でボーカルの潰れにくさは手待ち環境の中では最高で、やはりボーカル中心のモニターが想定されていると思います。




最後に




もう新製品は来ないと考えると寂しいですが、VECLOSの製品はコストパフォーマンスで考えるとどれも微妙だったりするので、仕方がないですね。


私の場合は設置場所が限られているので、小音量のニアフィールドリスニングどころか至近距離で聴くような使い方をしています。量販店などで試聴すると、ほとんどのスピーカーが至近距離では違和感のある音になるので、大きな音が出せない狭小住宅でもオーディオがしたいという方にはピッタリです。低音の量感不足も音漏れを考えるならプラス要素。
逆に普通の条件が整えられるなら普通のスピーカーでいい……つまり、あまりにも需要が少ないところにしか刺さらない製品だった訳です。


今の暴落した価格でなら悪くない選択肢だと思います。
イヤホンやヘッドホンも大絶賛投げ売り中です。

FitEar Roomの感想

移転してたけど、しれっと復活しました。






FitEar ROOMの概要


この製品は、ジャンルとしては『カスタムIEM』や『イヤモニ』と呼ばれるモノです。
ややこしいので当ブログでは『カスタムIEM』で統一します。ジャンル全体の特徴や注意点などは、後で詳しく説明します。


カスタムIEM業界においてFitEarというブランドは国内最大手とも言える存在です。公式サイトのクライアントリストを見れば、著名なアーティストがずらりと並んでいます。
そのFitEarが代理店を通さない直販限定モデルとして発売したのがRoomです。


お値段なんと49,800円!
耳型採取代、消費税、送料を入れても支払い総額6万円を切ります。
この価格は「高い!」と「安い!」で意見が真っ二つに分かれると思います。実際にはカスタムIEMの相場から考えれば安いはず。10万円超の猛者がそこら中に転がっている界隈なのです……。


つまり、FitEar Roomは安心感のある有名メーカーが限界までコストダウンして作った入門機という立ち位置な訳です。



そもそもカスタムIEMとは?


簡潔に書くと「耳型を採取して、それに合わせて作るオーダーメイドのイヤホン」といったところです。


人間の耳の形や大きさには個人差がある、ということはイメージできると思います。さらに同じ人の耳でも、左右で違いがあります。
試しに私のカスタムIEMを見ると、結構な左右差が出ています。



メリット

耳型に合わせて製作することで、グラついたりキツかったりすることがなく良好な装着感を得られます。
耳にぴったりフィットするので、遮音性が高いです。

デザインもある程度自由にオーダーできます。メーカーによって色選択くらいしかできなかったり、あれこれ飾りつけることができたりと様々です。文字通り自分だけのイヤホンを作れるということです。

プロのアーティストが使用する機材だったりもするので、好きな声優さんと同じモデルを買ったりできますね。それどころか公式からコラボモデルが出たりもしています。


デメリット


オーダーメイドということは、当然お値段も跳ね上がります。
同じ価格でもユニバーサルフィットの誰でも使えるイヤホンなら、買取に出した時にそれなりの額になります。しかしカスタムIEMの買取価格は雀の涙かもしれません。

加えて納期がかかります。FitEarやONKYOなどの国内メーカーは1ヶ月くらい、海外はメーカーによりますが、2ヶ月くらいはかかりそうです。
製品が耳に合わなかった場合は、メーカーにリフィットに出す必要があります。
メーカー毎に無料でリフィットできる期間が設定されているので、追加料金がかかることはそうそうないですが、何度も直すことになった方もいるようです。
海外メーカーで複数回リフィットになると、注文してから使用するまでに半年くらいかかってしまう可能性もなくはないです。

もうひとつリフィットが絡む話として、人の耳は変化するという問題があります。
購入してから何年も経つと耳に合わなくなってくる、なんてこともありえるそうです。
また、短期的に見ても、朝と夜、入浴、などの何かしらの変化で耳の大きさが変わったりもします。こちらは私の耳でも起こっている現象ですが、今のところ大きな問題にはなっていません。

試聴が難しいこともデメリットのひとつです。まず試聴できる店が少ない。試聴機は誰でも使えるように特別に作られたもので、ある程度は実機と音が変わってしまうようです。装着感に関しても、実際にどうなのかは手に入るまでわかりません。

起源やら何やら実用に影響しない詳しいことは割愛します。



音について


言うまでもないことですが、人によって音の感じ方は違うのであくまでも参考程度に。


環境はDAPがONKYOのDP-X1Aで、デジタル出力でCHORDのMojoに接続することもある、といったところです。
DP-X1Aはともかく、Mojoはちょっと特殊な音なので詳しい方はそのつもりで読んでください。

ケーブルは付属していたものをそのまま使ってます。
バランス接続には手を出してません。

極端な傾向はなく、リスニング向きの音です。
低音か高音で明確に聞きたい音がある人にとっては面白くない音かもしれません。
ジャンルはあまり選ばないですが、ボーカル曲想定で作られているような気がしました。
個人的には帯域バランスがRoomの最大の長所だと思います。
どの音も埋もれたり目立ちすぎたりしないようにちょうど良くなってます。
バランスが良いという特徴は困ったもので、それ以外に特に言えることがなくなってしまうんですよね。


解像度ではMH334、中高域の表現力や音の滑らかさではESTと、他のFitEar製品には届かない部分もあります。
価格差を考えれば健闘しているし、リラックスして聴きやすいのはRoomの方だと思うので、物足りなくなって上位機種へ……ということもないと思います。
物足りなくはないけど、それはそれとして他の機種も欲しくなるのはオーディオオタクの宿命です。


音場は狭くないです。なぜ狭くないなんて微妙な表現をするのかと言うと、あまり音場が気にならないからです。Roomという名前の通り、自然に聞けます。
音場が広いイヤホンはボーカルが遠く感じたりすることがありますが、Roomにはそれがないです。
ヘッドホンで発生しがちな耳元で鳴ってる感覚がなくて、完全に頭内定位です。



音以外の使用感、注意点


RoomはカスタムIEMの中でも特に感度が高いです。なので出力が高いアンプでなくても音量が取りやすいです。
しかし実際のところはノイズが入りやすかったり、アンプの出力が高すぎて音量のコントロールが難しかったりとデメリットの方が目立ちます。
対策としては、プレイヤー側でリプレイゲイン等の機能で音量を絞る、アッテネーターを使う、とかあります。

追記
iFi AudioのIEMatchという製品を使ってみたところ、ノイズと音量を抑えることに成功しました。中華製真空管アンプでもノイズがないです。



付属ケーブルはタッチノイズが大きく、取り回しも悪いです。でも私はリケーブルしてません。音は気に入っているし、座った状態でしか使わないので。


FitEar製品に共通することですが、本体のケーブル端子はFitEar2ピンと呼ばれる独自規格です。MMCXや一般的な2ピンと比べるとケーブルの入手性には難があります。
その代わりに、あらゆるイヤホン端子の中でも最高レベルの信頼性です。


FitEar製品共通のことがもう一点。デザインの自由度が低く、本体とフェイスプレートの色選択くらいしかできません。
機種による見た目の変化が少ないのでFitEar製品を複数購入する予定の方は、色や数文字だけ入れることができる刻印を利用して区別しやすくしましょう。

銀座にある須山補聴器でしか試聴もオーダーもできません。耳型を郵送できれば店舗に行けなくてもオーダーは可能らしいです。
イベントに出張した前例はありますが、次があるのかは不明。


装着感はとても良いです。Roomはミドルレッグシェルという構造で、他のカスタムIEMよりは耳の中に入る部分が短いので、圧迫感がないです。
本体は少し大きめで、耳を覆ってくれるので遮音性もあります。
ポータブル用途に限らず、ホームユースで窓を開けて使ったりしても細かい雑音が気になりません。
電車内ではさすがに聞こえにくくなりますが、無理に音量を上げずに使えます。
歩く時に使うのは危険だと思います。




まとめ


価格を抑えてカスタムIEMの良さを体感してもらうためのエントリーモデル、という立ち位置をしっかり実現できています。
丈夫な端子や遮音性、目立ったトラブルを耳にしないFitEarというブランドに対する信用、といった要素もあるので初心者的にはありがたいです。
最初の方に書きましたがもう一度『カスタムIEMは試聴機と実機で、ある程度は音が変わってしまう』なんてことがあるので、特に初心者はメーカー信用買いという面も避けられません。


須山の社長さんのツイッターを見ると、実はあまり利益が出ないらしいです。そして、沼への入口にするつもりがRoomで完結してしまうなんて話も……。
私もRoomが初めてのカスタムIEMですが、正直なところ他のカスタムIEMを買う必要は全くないと思っています。
ただ、それを言い出したらそもそも音楽なんて聴かなくても生きてはいける訳で。趣味としてカスタムIEMなんて代物に手を出す人種には終着点など存在しないのでは?


ここまで概ね好意的な意見を書いてきましたが、調べてみるとカスタムIEM関連でのトラブルはちょいちょい見つかりますし、普通の感覚では6万円って高いので、ユニバーサルフィットのイヤホンとかヘッドホンとか、色々と視野に入れつつ、自分に合ったオーディオ沼に沈みましょう。


追記
eイヤホンなどの販売店でも購入可能になり、値段は少し上がったようです。元が安すぎたのでやむなしかと。






























RP-HD10レビュー






概要




RP-HD10はパナソニックの密閉型ヘッドホンです。オーバーイヤー(耳を覆うタイプ)。
最大の特徴は玉虫色の50mmドライバーです。
このような見た目になるのはMLF(Multi Layer Film)という振動板によるもので、応答性や解像度の高さに貢献しているようです。
他にも磁気回路とかフレームとかが良いらしいです。
使っていて理解できる範囲では、HSアジャストという機能があります。ヘッドバンドが長さだけでなく横方向にも調節できます。他のヘッドホンが合わない人でも問題なく使えるかもしれませんね。 
スイーベル折りたたみ(ドライバー部分を回転させて平べったくできる折りたたみ方式)かつキャリングポーチ付きなのでポータブル運用も可能です。
低インピーダンスで音量が取りやすいこともあり扱いやすいです。
ケーブルは着脱式で左側の片出し3.5mmです。1.2mと3mのケーブルが付属します。 






音質について




DP-X1Aに直挿しで聴いてます。



帯域バランスは極端な傾向ではないので、そうそう嫌われる音ではないと思います。



低域は解像度の高さが目立ちます。ボンボン鳴る音ではなくシャキッとしてます。
EGOISTの『名前のない怪物』で聴き比べると非常にわかりやすいです。低域がハッキリすると空気感が減る一方でリズムが強めに出てノリよく聴けます。
量が少ないというレビューをよく目にしますが、私はむしろ弱ドンシャリくらいに感じてます。
RP-HD10は再生域の広さから高域が注目されがちですが、個人的にはレベルが高いのも好みが分かれるのも低域だと思ってます。



中域は特に言うことがないです。悪いとかじゃなくて、ヘッドホンってほとんど『中域の印象=全体的な印象』なんですよね。ボーカルに癖があるとは思いますが、ボーカルだけが特殊なのではなく全体的にそういう音です。



高域はやや多め、キラキラしてます。使い始めのは少し刺さるかも?って思ってましたが、しばらく経つと良くなりました。エージングってやつでしょうか。
『シャリシャリ』を通り越して『カリカリ』になりかねないので、ここも好みが分かれそうです。

全体としては解像度が高くて分離も良い、バランスも悪くない、比較的ジャンルを選ばないヘッドホンといった印象。
では特徴のない優等生タイプかと言うと真逆で、高い基礎能力の上に個性を乗せたタイプです。
音場は謎の広さです。抜け感が強くはない、横方向に広い雰囲気。恐らくは中高域の音が変だと言われる要因はこれでしょう。空間表現がRP-HD10の最大の弱点です。



特筆すべき点として、アタックが非常に得意なヘッドホンです。ドラムや電子音など、瞬間的な音を綺麗に出し切ってくれます。特にハイレゾ音源ならポータブル環境でも音が重なりすぎて潰れることはありません。





相性ついて




音の上流との相性については何とも言えません。DACもアンプも相性について語れる程持ってないです。
試しにノートPCに直挿ししてみたらひどい音でしたが、それは当然の結果です。
iPhone8ではそこまで悪くは感じなかったので、ポータブル向きなのかもしれません。



相性の良い曲はロック系かEDM、ユーロビートあたりが該当すると思います。前述のアタックの良さ、低域の解像度の高さが活かせます。 
相性の悪い曲は広いホールで収録したようなクラシック系だと思います。低域がハッキリしていることに違和感があったり、音の広さがヘッドホンの特性と音源の特性でぶつかり合って不思議な感じになることがあります。 






メタい話




RP-HD10はパナソニックの有線ヘッドホンの中では最も高価な機種です。最近は大きく値下がりして1万4000円程で入手できるようです。発売当初から1万円以上落ちてます。
ちなみに兄弟機のRP-HD5と比べると低域が抑えめで解像度が上がっている感じでした。RP-HD5の方は長所がそれほど強くなく、価格差を考えても断然RP-HD10の方が良いです。



後継機が発売される可能性は微妙なところです。というのも、最近のパナソニックはワイヤレスに注力しているからです。ノイズキャンセリング機能付きワイヤレスとか流行の最先端を行ってる方向です。そちらを聴いたことはないですが、もしかしたら似た傾向かもしれないので、興味のある方はそちらと比較してみてもいいと思います。 





装着感



ヘッドバンドの頭頂部のところがふかふかで頭が痛くなりにくかったり、HSアジャスト機能があったりで装着感は優秀です。
問題点としては耳とドライバーの距離が近すぎて当たることがあること、側圧強めなことでしょうか。側圧は強い分には必要に応じてティッシュ箱で調教するだけですが。
頭が小さい方にとっては大きすぎる可能性があります。私は最小状態から1段階だけ伸ばしてちょうどいいです。特別に頭が小さくもない男性でこれなので女性は少し危ないですね。









最後に



1万円代前半のヘッドホンでここまで完成度が高いものはそうそうないと思います。ただし2014年発売で安物ではないので、家電量販店なんかには置いてないこともあります。でも癖が強いので試聴は絶対にするべきです。
今はDAP直挿しですが、ちゃんとしたアンプ通すと変わるという意見もあるので試してみたいところです。



余談ですが、RP-HD10の低域が非常に嫌いだった方はゼンハイザーのHD598を聴いてみると楽しいと思います。密閉型と開放型、ハッキリした低音と丸くて量の多い低音、真逆の存在です。

SE-MONITOR5試聴感想

SE-MONITOR5視聴感想


先日、秋葉原でeイヤとヨドバシとビッカメとONKYO BASEを堪能しました。お目当てはシュア掛け用のイヤホンでしたが、イマイチ好みの物がなく、結局はPioneerの密閉型ヘッドホン『SE-MONITOR5』が欲しいなーと思ってあちこちで聴きまくりました。




というわけで忘れない内に感想を。
まずはハード面。サイズは大きく、重いです。密閉型で2.5mmバランス接続ケーブル付属ということでポータブル用途も想定されているようですが、あまり現実的ではなさそう。イヤーパッドはベロアタイプとレザータイプの2種類。eイヤでレザータイプ、ヨドバシでベロアタイプを試しました。個人的にはベロアタイプの方が落ち着きます。とはいえ側圧が苦手な私でもレザータイプで全然平気でした。どちらも大きめで完全に耳を覆ってくれます。接触する面積が広いからか、装着してしまえば重さも手に持った時ほどは気になりません。
こればかりは壊れる時までわからないことですが、見た目と触ってみた印象では頑丈そうでした。金属多めだからそう感じるのでしょう。
付属品は3.5mmステレオミニのケーブルが3.0mと1.6m。2.5mmバランス接続のケーブルが1.6m。キャリングポーチも付属するようです。やはりポータブル運用を意識した構成ですね。



音について。名前からしてモニターですが、本当にそんな音です。中高域寄りに聴こえます。手に取りやすい製品では、フラットな音域特性と公称されるINAIR M360に近いです。低域の量感は控えめ。シャカシャカした音に感じるかも。
解像度とか細かな音を聴かせてくれるという面では今までに聴いたヘッドホンの中で最も優秀でした。
電子音と相性が良いみたいで『Won(*3*)Chu KissMe!』を聴くと音のひとつひとつが綺麗で楽しいです。
ボーカルの表現力が素晴らしいです。特に女性ボーカル……と言いたいですが思い返すと男性ボーカルを1曲も試聴していませんでした。
『進化系Colors』はソロパートの連続からサビで一気に全員の声が重なる曲です。ソロでは声だけでなくブレスまで表現されてて臨場感満載です。サビでもちゃんとひとりひとりの声の表現と全体の声の質感を両立しています。
CDの圧縮音源でもとても良い音でしたが、やはりハイレゾ音源の方が他のヘッドホンとの実力差が出ていました。
アイマス曲のハイレゾ音源はリマスタリングを伴ったCDとは別の音源として作られています。ハイレゾ再生できるレベルの機材を用意して騒音に邪魔されない環境で楽しむ前提の音ということです。その点、密閉型のハイエンドヘッドホンは都合が良いです。店内放送で開放型ヘッドホンはまともに試聴できない状況下でもちゃんと聞けます。中高域が強く出ること、解像度と表現力が高くボーカルをメインに聴くのに向いていることもあって相性抜群といった印象。
開放型とは少し違う性質なものの、音場は広いです。音が抜けるというよりは響く方かと。
シンバルの音がザラついた音になるのは好き嫌い分かれそうなところ。
多少鳴らしにくかったですがDP-X1Aなら直挿しで余裕があります。低スペの格安スマホではパフォーマンスがどうこう以前に音量足りなくなる危険もありそうです。
本体の大きさの甲斐あって(?)タッチノイズは開放型並みに気になりませんでした。



欲しい!!!
でも10万は高い!!!
さすがに様子見ですかね。今のところは値下がり待ちか中古か、って感じです。これ買っちゃったら据え置きヘッドホンアンプだって欲しくなるし。MONITOR5が気に入ったけど高くて買えない人はINAIR M360あたりが手に届く範囲では近いと思います。モニターヘッドホン全然知らないからそっちの方が近い可能性ありますが。

あわよくば買いたい……買えそうにない。

INAIR M360感想



7月18日。ついに!ついに!この時が来ました!INAIR M360着弾!




はじめに

今回は長文化への対策として、段落を独立させて、ほぼ順不同で並べました。要するに太字で中央寄せの見出しだけを読んでいって、気になったらその下の文章も読めばいいと思います。順番は気にせずどうぞ。最後のまとめから読むのもいいかもしれません。






使用期間が多少出てきたので追記

最初は音の硬さというか、リスニング向きではない雰囲気を感じました。が、気がつけば消えていました。しばらく使っているうちに耳が慣れたのか、あるいはこれがエイジングというやつなのか。
装着については最初は難しいかもしれません。慣れれば普通のイヤホンとほぼ変わらない速度でいつもの位置に着けられます。
全体的にハッキリとした音ですが、低音の解像度が特に高いです。T.M.Revolutionの「resonance」「crosswise」等がわかりやすい。ベースとか聴き分ける能力は低音重視モデルよりも高いのでは。




INAIR M360という製品について

超ざっくりいきます。ドライバー(音を出す装置)をスポンジで覆って耳に入れる、インイヤースピーカーと呼ばれるものです。音を出す→イヤーピースを通して耳に伝わる、というイヤホンの形式とは違います。ドライバーから出た音が直接耳の内部を伝わって聞こえます。

ちなみにオンキヨーのDAP、『DP-X1A』に直挿しで聴いた感想です。









脚色の少ない、乾いた音

乾いた音が何なのか、自分でもうまく説明できません……。とにかく飾り気がないというか、音源そのまま感がありますね。ギターとかは迫力があるけど、ちょっと疲れる音になることも。





低音の量は控え目

ほかのレビューでも言われてますね。空気感というか、ぼやけた量感はないです。DAPが違えば増えそうな気もします。量が少ないだけで輪郭のハッキリした低音がちゃんと鳴っているので個人的には好みです。恐らくこの製品で最も賛否が分かれるところ。
あまりにも聴こえなかったら後述の装着方法の問題かと。






解像度の高いハッキリとした音

ここも大きな特徴です。広く響く音ではありますが、きっちり鳴るって感じです。
ここは音源の影響も大きいです。特にキックがピシッと押さえられるか、ブワッと響くかは音源次第。





分離、聴き分け能力の高さ

ボーカル曲に合う特性です。オケが多少うるさい曲でも、ボーカルがしっかりと通って自然に聴けます。特定の音に意識を向けた時に、その音だけを聞き取りやすいです。






音場の広さ、定位

これを目当てに買う方も多いでしょう。そして感想記事的にはここが最難関です。まず伝えられることは開放型ヘッドホンとは何かが違うってことです。何が違うんでしょうねぇ……(語彙力の限界)
真面目に説明すると、開放型は耳元から少し離れた位置から音が聴こえていることを感じられますが、INAIRはそうでもないです。脳内定位ってやつでしょうか。でも確かに遠くに音があって、距離があるのがわかるんですよ。なのに距離によって音が減衰せずにスッと入ってくる。スピーカーとも違うような(良いスピーカーはこういう聴こえ方をするのかもしれませんが)。 
定位はわかりやすいです。コンサートホールを意識した音源では楽器の位置がわかります。 
こう書くとどれだけ変な音なんだって思われそうですが、慣れれば普通です。私も初めての試聴では意味がわからない音だと感じました。製品版を手にして数日、かなり慣れてきて自然に聴けています。逆に言うとこの要素だけに過度な期待を寄せるべきではなさそう。 






装着方法

装着方法ってどういうことだ?と疑問に思うのは当然です。普通はイヤホンやヘッドホンなんて着けるだけです。せいぜいシュア掛けとかあるくらい。
ですがINAIRに関しては特殊な装着方法があり、ここを間違えると低音が消し飛びます。
説明書に書いてありますが、試聴時なども考えてここで伝えておきます。
簡単に言うと、ケーブルが繋がっている小さい本体部分を耳たぶの中に入れてしまうのがオススメということです。手順としては耳元にスポンジを押し付けてから、耳たぶを親指と人差し指で軽く引っ張りながら中指で本体を押して微調整するのが安定します。
音を出しながら良い感じに聴こえるところを探すのが大事。耳の形や大きさは個人差があるので、他人のやり方はあくまでも他人に合うというだけです。
私の場合は本体を耳たぶから出して少し下げて角度を上向きにしても同じような聴こえ方をします。こちらの方が手早いです。 






装着感について

小さくて軽い製品で、スポンジが柔らかいです。着けた直後は『着けてるな』感がありますが、少し使っていれば着けていることを忘れるレベルです。






ハード面、ケーブル等について

思っていたより良かった、という点ではここが一番です。
プラグ周りはL字型で折り曲げ耐性高そうなゴツさ。ケーブルは左右の分岐までは布巻き。分岐点も強そう。リモコンはしっかりした操作感。強めに押してカチッと反応してくれます。iPhone7では動きましたが、DP-X1Aでは動きませんでした。Android6が対応外なのかボリュームを回して操作するタイプのDAPだからかはわかりません。





まとめ

特殊な品であることは理解しているつもりでしたが、改めて考えるとぶっ飛んだ存在ですね。音場以外の音質面においても個性が強いです。
最初は装着感が良いから誰にでも薦められる、なんて考えていました。使ってみると、そこらの流行りの高コスパイヤホンとは違う方向性の音で、これはオーディオオタク向きかなー、と認識が変わりました。
初心者に1万円する製品を薦めるなら、それ単体で全ての用途をカバーできないと厳しいです。INAIRは遮音性が高くなく、低音の量は少なく、高音は装飾が少なめでキラキラ感や華やかさは控え目です。音源や状況によって使い分ける選択肢のひとつとしては最高クラスで、1万円という価格も安く感じます。しかしINAIRのみでは不都合な場面もあるでしょう。
ただひとつ思うのは、流行りの方向に寄せて無難な音を目指していたら、ここまで面白い製品にはならなかったのではないか、ということです。
音が良いのは当たり前になりつつある今のポータブルオーディオ界隈において、INAIRはとても面白い、使ってみて楽しい製品という点で固有の価値があると思います。






以下、細かい点や今後の展望についてです。更なる長文化、具体例のジャンルの偏り等、お覚悟を。





タッチノイズ

完全に密閉された構造ではないので、頭の中を覆いつくすようなガンガンとした音を食らうことはありません。外で歩くならともかく、室内で使う分にはケーブルクリップも使う必要はなさそう。
音楽を聴いていても似たような傾向があります。アイマス曲で言うと『サイキック!ぱーりーないと☆』とか『Take me☆Take you 』の最初の部分は、頭の中全体にガッと来るような強めの音です。INAIRで聴くと空気感がなく、音として聴くことができます。迫力には欠けますが、耳に優しい。 
空気感、という面では低音でも特徴的です。『名前のない怪物』のような、再生環境によっては低音の響きで空気感が作り出される曲でも、輪郭のハッキリとした音を保っています。   





音源との相性

ロック系では、阿部真央さんの『這い上がれ MY WAY』では、ビシッとしたボーカル、響きが抑えられたドラム、主張しすぎないものの存在感は強めのギターといった印象。ボーカルの通りの良さがメッセージ性の強めな歌詞と相性抜群。音数を増やしすぎない曲なので、それぞれの音の響きも全体の明るくかっこいい雰囲気も楽しめます。
『戦車道行進曲!パンツァーフォー!』の最初のドラムロールはCD版とハイレゾ版で情報量の差が出るところですが、手持ちの環境ではINAIRが最も大きい差でした。解像度の高さ、原音の影響を強く受ける傾向はハイレゾ向きとも言えるかも。 
しかしガルパンのサントラとの相性は微妙なところです(特に劇場版)。低音と空気感の少なさと、ホールのような空間をイメージした音源は一長一短の組み合わせ。定位はしっかりしているので、どの楽器がどこにいるのかは非常に掴みやすいです。このあたりからもフラットで音を伝えることに注力したINAIRと、心地良く聴こえる音を出そうとする他の製品の方向性の違いが感じられます。
ChouChoの『カワルミライ』は相性が良い曲です。引っかかる感じがない綺麗な歌声が他の音に邪魔されずに届きます。もちろんオケも明るく鳴っていて、独特の音場や音域特性をフル活用できます。 
個々の音源次第なのは前提として、大雑把にではありますが曲の相性の法則性が見えてきました。
まずバンド系の重なる音の数が少ない曲は有利です。これは個別の楽器の音と全体での雰囲気を両立しやすいからだと思われます。
女性ボーカル、オケも高めの音が多い曲も有利。これは純粋に音域特性に合っているから。ただしキラキラ感はあまりないので、寂しい音に聴こえる可能性も。
苦手なのは重低音寄りの曲とかかな?
アイマス曲も楽しめます。特にハイレゾ版は。『CHANGE!!!!』ではクラップ音と他の音でうまくバランスが取れて特別聴きやすくなってます。『Do-Dai』は声と他の音の両立性能が活きているだけでは終わらず、複数人ボーカルのひとりひとりの声の魅力をしっかり出してくれます。『Romantic Now』の瞬間的な音の盛り上がりのリズムの中でもみりあちゃんボイスを堪能できます。『Star!!』はアイマス曲でも屈指のダイナミクス活用曲ですが、音のピークでも痛みや苦しさがまったくないです。INAIRは音量大きめ推奨のアイマスハイレゾには良き相棒でしょう。
相性の良い曲を探せるのはオーディオ沼の住民的には利点ですよね。一般的には面倒なのかもですが。





楽しみ方

高額なヘッドホンに手を出した時、この曲はこんな音があったのかと気がつくことがありました。INAIRでは、この音はこう聴こえることもあるのかと驚くことがあります。特にユーロビート系統の曲でそれが強いです。不思議なことに特定の方向性に向かうわけではありません。広く、長く響くこともあれば、スッと音が抜けることもあります。そんな音を見つける楽しみもある、という話です。






DAP、音の上流について 

DP-X1Aに直挿しで聴いています。以前使っていたソニーのウォークマンAシリーズの方が低音重視だったので、そっちの方がリスニング向きになるかもですね。
ポタフェスで試聴した時は鳴らしにくいと感じましたが、静かな環境ではそうでもないです。ローゲインでも普通に鳴らせます。
イコライザーでの調整は微妙でした。というか輪郭がハッキリする傾向が強すぎて、これで低音が強いと音楽としてのバランスが悪く聴こえてしまいます。
アップサンプリングは良いです。音が丸くなります。原音や聞き取りやすさから聴き心地の良さに寄る感じ。






音楽再生以外の使用

ゲーム、映画などにも向いているのでは……と思いましたが、ここは音楽以上にシビアなところでした。 
World of Tanks Blitzという、名前の通り戦車で戦うスマホゲームで試してみると、あまり今までと変わりませんでした。理由は明白です。戦闘中に音なんて聴いてない!この手のゲームは考えることが多くて、音なんて必要だと思った時に一瞬意識に入れるくらいです。加えて言うなら、原音に忠実な印象のINAIRでは、ゲームの音そのものがあまり良くなければ迫力も出ないという問題もあります。
通話しながら協力プレイをするのには向いています。密閉型と違って自然に声を出せますし、相手の声も聞き取りやすいです。
音ゲーをやってみると臨場感が増します。アイドルマスターミリオンライブシアターデイズ(通称ミリシタ)はライブ演出を楽しんでアイドルと触れ合うゲームで、難易度の高い譜面に挑ませてくる傾向ではないので相性が良いです。 
非常に良かったのがニンテンドースイッチのゼルダの伝説ブレスオブザワイルド。このゲームはオープンワールドならぬオープンエアーを名乗る程の没入感が売りですが、その方針とINAIRの音がバッチリ合います。鳥のさえずり、足音、戦闘時の金属を打ちつける音など、全ての音が自分の周囲に広がっているようで、ゼルダの世界に入り込めます。敵の位置や仕掛けが発動した時の効果音の定位も掴みやすく、純粋にプレイしやすくなるという面もありました。 
RPGアプリのFate/Grand Orderをプレイした時は特に何も感じませんでした。定位も分離もあまり影響しないことは予想通りです。
ゲームは本当に音源の質と相性の問題だと実感。
動画視聴でも音源次第だという印象は変わりませんでした。VRとの組み合わせは興味がありますが、ちょっと予算が厳しい。






遮音性について

低いです。元から高くするつもりはない設計ですから。現在進行形で普通の音量で聴きながらドア開けっ放しの隣室の会話内容を聞き取れています。酔っ払いなので声大きめですが。






装着感について 

『着けていて嫌な感じがしない』ではなく『着けている感じがしない』感覚は初めてです。 
自分でベストポジションを探せることで様々な人の耳に合うとも取れるし、人によって受け取れる音に差が出ているとも取れますね。
慣れれば簡単にいつものポジションに入れられますが、初日はちょっと戸惑います。
ちゃんと聴きたい場面ではなくて、でもスピーカーは使えない……という時に耳元に置くくらいの使い方ができるのは地味に便利。
今までとは全く違うことをするので、無理すると耳の変な所が痛くなったりします。
問題点としては、左右で差が出てしまいやすいということがあります。私の場合はどうしても右側がよく聞こえて、左側が薄くなる傾向があります。人間の耳も完全に左右対称ではないでしょう。eイヤのだいせんせいもブログのカスタムIEMの記事で左右の耳の大きさが違って苦労していると語っていました。INAIRのような耳に自然に合わせてくれる製品では、装着できるからこそ聞こえ方に差が出てしまいます。もちろん同じ聞こえ方をするように、左右で違う着け方をするというINAIRならではの対抗策は有効です。このあたりは長所と短所が同時に発生している感じですね。






後継機について

実は公式情報で既に次の製品について言及されています。製品仕様の欄にも有線、無線の他にトゥルーワイヤレスと思わしき存在があります。
今のところは更なる高音質とリケーブル対応、リモコンなしのケーブル、といった要素が意見として目立つようです。
個人的には、有線と無線だけでなく音の傾向やケーブルの仕様などで複数のモデルを発売してほしいところです。ポタフェスで様々な製品を試聴してみて、1万円を切る価格帯でもすごく音が良かったんですよ。もう音が良いのはスタート地点で、そこから他の理由で買うものが決まっていくのではないかと思います。INAIRはせっかく強烈な個性を持っているので、無理にひとつの製品にまとめようとして無難な仕上がりになってしまうのはもったいないです。値段という問題もエントリーモデルとハイエンドモデルに分かれていた方が有利でしょうし。
リケーブル対応については、断線対策にはなるものの結局は端子部分が破損しやすいことには変わりなく、このサイズの製品にはマイナスになりかねないという懸念があります。でもケーブルで音の変化を楽しむことは楽しそうですよね。いくらでも金がかかりそうなので手を出したくはないです。
装着感については、微調整できることがメリットであると同時にデメリットにもなっているのが現状。左右で音に差が出てしまうことや、安定して同じ音を聴くのにコツが必要なことが、今後どうなるでしょうか。
今回はいい買い物をさせてもらったので後継機が来たら問答無用で買うと思います。






まとめ

今までの怪文書を全部読んでここまでたどり着く方はいるのだろうか。
要するに個性が強くて私は好きだけど、人によっては気に入らない部分もあるだろうってことです。
他のイヤホン、ヘッドホンとは異なる体験ができるので、既に何本も持っている人にこそオススメですね。