バンドリ6thライブDAY2 「Let's Go! Poppin'Party!」の感想

ポピパ!ピポパ!ポピパパピポパー




記憶違いや誤字脱字などあるかと思いますが、そこは勢いで読んでください。



ライブ開始前


12月8日、両国国技館。ついに待ちに待ったポピパのライブがありました。
私は初心者どころかライブ参加自体が初めてで、右も左もわからずに挑みました。
実際に両国駅から逆方向に進みかけました。



国技館前に到着すると、既に大勢のバンドリーマーで大渋滞。
この時点で14時を過ぎ、物販はもうお開きムードでした。
係員が矢印看板を手にしていて、流されていくと入場待機列が。
会場30分前だったので、そんなに並んでいませんでした。1万人近いであろう来場者の中で先頭の300人くらいはかなり早い方だと思います。
半ば偶然とはいえ、それは正解でした。
通路が狭い箇所があり、会場内が人で埋め尽くされると移動が面倒だからです。



私は道中で乾電池を購入し座席でペンライトに装填するという荒業をやりましたが、狭いのでオススメしません。



ライブ開始前の特有の空気ってワクワクしますね。控えめな音量で流れるポピパの曲、ちらほらと光るペンライト。ステージ上で楽器のセッティングをしているスタッフさんもやたらカッコよく見えます。
私も無事にペンライトの動作確認を終え、大人しく待ちます。





両国国技館という会場について


アリーナ席は狭いです。小さめのパイプ椅子を連結させていたので、隣の人と肩がぶつかるを通り越して前後にずれないと座れませんでした。

私がいたアリーナ席後方からは思っていたよりステージが近かったです。というか両国国技館そのものが想像より狭かったです。

枡席という特殊な4人席は高さがある分アリーナ後方より見やすいかもしれません。

2階席はさすがに少し遠いみたいです。見切れ席でも割とガッツリ見えてたり、ステージ裏の体感シートもモニターの隙間からちょっと見えてたりしたみたいで、ポピパがちょくちょく絡んでました。優しみ。

他の会場を知らないので何とも言えませんが、とにかく枡席が特殊なのかなと思います。狭そうで、土足禁止の地面ベタ座り……でも遠すぎず、正面なら良席かも?って印象でした。

アリーナ席へ降りる階段は渋滞必至なので混雑するタイミングを避けるしかないですね。





ついに開幕!


興奮しすぎて全然記憶がないけど、最初は1年間の振り返り映像的なのが流れていたらしいです。



1曲目『ぽっぴん'しゃっふる』


最初のギターが響いた瞬間に意識が戻ったようにハッとなりました。というか記憶があるのはそこからです。
完全に気圧されました。音量も演奏も歌声も歓声もすべてが圧倒的でした。
私は初のライブ参加で、楽しめるのか不安でしたが、1曲目の勢いですべて吹き飛びました。
コールとか全然知らなかったのでわかりやすいところだけ入れてました。
ペンライトも振り方とか適当でした。
思っていたより敷居の低い空間だったというか、当たり前ですがみんなステージに意識が集中してるので他人の邪魔にならなければそれでOKって感じですね。




2曲目『二重の虹(ダブルレインボウ)』


ライブでは初披露の新曲!個人的には特に好きな曲です。ギターは重く響く傾向で、キーボードは軽くキラキラしていたのが印象的。確かにいつも聴いてるのと同じ曲なのに、違うんですよね。
ポピパらしい明るくて華やかな音とバンドらしい低域のアタックの強さが両立していました。ボーカルはちょうどいいバランスで残る香澄成分で耳が幸せです。
りみりんのマイク音量が低かったかな?と思ったけど、本当に今目の前でポピパが歌って演奏してるんだと実感できて、頑張れー!って叫びたくなりました。
純粋に音で言うと6thライブの中で一番好きな曲でした。




3曲目『ティアドロップス』


真っ赤!みんなペンライト赤い。どうやらそういう曲みたいです。ちなみに『赤から青に変わる』で青に変えてる人がいっぱいいました。アレは今後機会があったら狙いたい。
ライブでは定番のようで、言われてみれば色変えとか観客側も自然に対応していたような気もします。
ティアドロはみんなかっこいいですが、さえチのギターは特にすごかったです。ソロの時にちょっと高いお立ち台みたいなのに乗るんですが、降りた直後のホッとしているような挙動がかわいい!
かわいいとかっこいいを連続で叩きつけてくる姿は完全におたえでした。




MCその1&ポピレンジャー爆誕


衣装が二重の虹仕様でした。ただでさえかわいいのにくるっと回ってくれたり、彩沙があいみんの衣装をひらひらして遊んだりしてて、ここに理想の花園ランドをつくるの状態。
体感シートでもモニターの隙間からポピパのお尻が見えるそうで、実感シートなんて言われてました。ちなみにポピパ内ではありがとうシートと呼んでいるらしいです。かわいい。
たぶん6thライブ限定のコールとして、ポピパが「Let's Go!」と言ったら、みんなで「Poppin'Party!」と返すことに。へごちんがへごへごしながら説明してくれました。


そして、ついにアレが来ました。
リズム戦隊ポピレンジャー!
もう何が何だか。
愛美はキラキラドキドキをパワーに変えられる。
りみりんはテレパシー。
さえチが時間制御で。
はっしーが瞬間移動。
彩沙が……たぶん治癒能力的なやつ(思い出せないですごめんなさい)
部屋でくつろぐポピレンジャー。りみりんはひたすらトンファーを振り回していたけどたぶんくつろいでる。
りみりんがテレパシーで街の異変を感知。
タマ(犬のぬいぐるみ)「出動だ!」
この子は何やら5thライブか何かで登場したらしいです。

なんだかんだでポピレンジャーVS悪の組織のゲーム対決が始まります。さえチは予定が合わなかったのか、別時空から実況していました。
ドミノ並べ対決では、相手の妨害に対してりみりんがピコピコハンマーで反撃。結構バンバンやってました。
さえチはりみりんが荒ぶるのレアだなーと笑っていました。
ちょいちょい倒しつつも、無事に並べ終わりポピレンジャーの勝利!


次はお絵描きリレーでした。伝言ゲーム的な感じで絵だけでお題を最後の人まで伝えるやつです。愛美さんがいるけど大丈夫でしょうか。
1問目は難易度低めで、彩沙がキラキラお目目を描いたので、ミッシェルだ!とすぐにわかりました。
愛美は……なぜか片目ドアップに改変。さすがあいみん。
はっしーは戸惑いつつも無難に引き継ぎ。最後のりみりんが一番まともにミッシェルを描きました。


2問目はスタートの彩沙の時点で何を描いたのかまったくわかりませんでした。キラキラした人物と、よくわからない何か。さえチも困惑していました。
さすがの愛美もそのまま描き写すことしかできず。はっしーもお手上げ。ついに最後のりみりんもわからないまま描いてみるのですが……正体不明の物体がう○こみたいになってる……。
りみりんは薫さんと回答。
なんとお題は『伊藤彩沙』でした!
う○こは実は彩沙の好物のホイップクリームだったみたいです。わからない。


順番を変えて3問目。はっしーはギターアンプを描きます。普通に絵が上手だからか、お絵描きリレーではへごちん要素がなくてしっかり者に見えました。
りみりんもすぐに理解して描きます。
彩沙は文字(しかも答えそのまま)を書こうとしてりみりんが止めてました。でも通じる絵で愛美へ。ちょっと悩む素振りを見せて不安を煽りつつも正解!
悪役はまだあきらめておらず、次の対決もありそうな気配。





4曲目『ピコっと!パピっと!!ガルパ☆ピコ!!!』


この曲名はどう略したらいいんでしょうか。
ポピレンジャーを引きずっているかのようなカオスっぷりで、まず愛美が星の被り物(頭に乗ってるんじゃなくて頭部全体が星になってる)
りみりんがチョココロネを持って登場!絶対投げるじゃないですか。
演奏はせずにポピパみんなで歌いながら遊び回っていました。さえチは歯ギターに挑戦。
サビで本当にりみりんがチョココロネを投げる!
この件については後で砂かぶり席じゃなくてチョココロネかぶり席だねーなんてMCも。
アニメのショートバージョンだけの披露でした。フルでやられたら死人が出ますよ。
ポピパの生演奏との音の違いが大きく、やっぱりポピパすごいんだなーと実感。




ポピパクリスマスライブ開幕

ここでは寸劇みたいな感じでキャラクターを演じてました。
香澄がクリスマスライブの予定を早めたのをメンバーに伝え忘れ、30分後にライブだよ!状態。友達いっぱい呼んでねーと伝えたら8000人くらい集まってしまったそう。
香澄のお客さんがいるんだから頑張ろう的な発言によりいい話になりかけますが「いやお前が言うな!」と有咲のツッコミ。
いつも通りのポピパです。





5曲目『最高(さあ行こう)』


またもや新曲です!私は全曲生で聴くのは初めてだから全然関係ないですが!
新曲による盛り上がりを共有できないのはちょっと寂しいけど、その分何もかもが新鮮です。
そう、映像でガッツリと神バディファイトのOPが流れているのも新鮮です。MCではちゃっかりと宣伝もしていました。毎週土曜朝8時からだそうです。


コールを入れやすい曲で迷わなかったです。
間奏の長い方のさぁーいこうーの部分で声優さんの歌ってすごいんだなーと再認識。そこからのラスサビは全力でペンライトを振りました。なんとなく黄色っぽい曲ですよね。低音曲でもないですが、明るさや可愛らしさというよりは強さを感じました。
全体的に盛り上がる場面の多い曲
ボーカルの香澄成分が多めで、リアルのポピパよりキャラクターのポピパっぽい雰囲気に。クリスマスライブ寸劇からの流れで聴いたから尚更。




6曲目『クリスマスのうた』


はっしーがシャンシャンシャンで手をこうしてねー(ちょっと違うけどキツネサイン的なやつ)と言うと、大歓声。
だって6曲目はクリスマスのうただよ!って宣言にも等しいですからね!
ラブラブラブで親指と人差し指を立ててL字に、という指示も。簡単な内容でよかったです。
嬉しかったのは、全員が前に出られたこと。
キーボードはギターみたいな肩にかけるタイプで。
ドラムは簡略化したセットを立った状態で。


残念だったのはペンライトの色。みんな赤と緑で合わせてたらしく、あいみんも綺麗だったと言ってくれたけど私は違う色振ってました。ティアドロや後述のスタビくらい極端ならともかく、ポピパで緑振る勇気はなかったです。
でも初心者のひとりやふたり程度は誤差なのでビビっていても仕方ない精神で挑むのがよいと思います。


クリスマスのうたは2番のサビを有咲が歌うんですよ!
キミが世界変えてくれたんだのところで香澄を見てた(気がする)んですよ!これは重大なかすあり案件です。
キーボードの弾き方が普段と違うこともあって本当に大変だったと思います。他のメンバーは経験者なのに彩沙だけは完全に初心者スタートだったらしいので、隣に並んで歌う姿を見られて本当に良かったです!

こうして、ポピパのドタバタクリスマスライブは無事に終わりましたとさ。と沙綾のセリフで締めでした。





再び襲い来るカオス、ポピレンジャー。


今回の対決はマシュマロタワー。ポピパがみんなわかってなくて、さえチが誰もわかってないなー?と言ってて可愛かったです。私もわかりませんでしたが。
ざっくり説明すると、茹でる前のパスタの麺を使ってマシュマロを頂点に据えたタワーを完成させる……という内容です。手を離して自立すればセーフ。
ポピパは土台を作ろうとします。意外にも堅実。妨害を受けてまたもやピコピコハンマーで撃退するりみりん。アグレッシブりみりんもかわいい。
しかし恐らく妨害とは関係なく土台が崩壊。しかもその直後にタイムアップ。これはダメかと思いきや、残った麺でうまくバランスを保って自立。
またもやポピパの勝利。
ポピパがきゃーきゃーしてるのが好きなので供給ありがたいです。


次なる種目はピンポンリレー。
スプーンにピンポン球を乗せてレースをするという定番のアレです。
特筆すべきははっしーの安定感。慌てずにさらっと往復します。しかしピンポン球の受け渡しに失敗。へごちん。
ポピパメンバーはちょいちょいピンポン球を落としつつも勝利。今回も途中で妨害されそうだったけど敵さんが失敗して自滅していたので平和でした。
と思いきやまさかの再戦要求。調子に乗った愛美さんは快諾。そして勝利!書くことが全然ない!
実際はっしー以外に特に言うべきことがないんですよね。みんなで応援しながら見る分には盛り上がって楽しいので、ライブの幕間映像としてはこれでいいと思います。





7曲目『ときめきエクスペリエンス!』


衣装チェンジで登場。スタビ衣装です。
アニメOPだけあって歌詞も音も明るくて可愛い!華やか!
初めて聴いたバンドリ曲で、ガルパを始めたばかりの頃はEXクリアできなくて、そんなことを思い返している場合ではないのに不思議と懐かしさを感じていました。
うろ覚えのコールにも気合が入ります。
ガンガンに楽器の音とコールで彩られた会場もいいですが、ラスサビ前の静かな歌声も素敵ですね。
ときエクはボーカルのパート分けが多くて耳が幸せです。
この曲の始まり感はすごいです。タイミング的にも後半のスタートといったところでしょうか。ライブ参加が初めての私にぴったりの曲でした!




8曲目『Time Lapse』


空気がガラッと変わりました。音が重いです!
ついさっきまで爽やか系ギターだったのにガッツリした音になって、ドラムもベースもガンガンに響いて……気のせいか音量爆上がりしてないですか?
冷静さの欠片も残っていなかったので本当に気のせいだと思います。
何がすごいってコールですよ。Oh〜部分は大合唱だったので、ライブ用のイヤープラグってこういう時に必要なんだなと実感しました。
カラオケ50点台でもこういう場なら恥ずかしがらずに歌えるものなんですね。あるいはこれが聖夜の魔法なのかも。


歌のパート分けは香澄と全員の2種類だけで(たぶん)、迫力がありました。香澄ボイスはカッコイイからカワイイまで中毒性マシマシです。他のメンバーの声が乗ると不思議と女子高生風味が増します。
最後の方の歌詞で、陽が落ちて歌声は星になり〜ってあるじゃないですか?ポピパの衣装がスタビじゃないですか?もう次で来るでしょ!最高の流れだ!!となったところでMCへ。




MCその2


りみりんがウェーブを御所望。見切れ席や実感シートも含めれば、ほぼ全方位にバンドリーマーがいるので、客席から見ていても綺麗でした。ペンライトの色は迷ったけど青と黄色にしました。逆回りもやりました。
言い出したのはりみりんなのに、さえチの方がノリノリという。やりたかったんでしょうね。


今年の振り返りもありました。夏のライブが印象的だそうです。海外に行ったり、雨が降ってたり、大型イベントに参加したり。
私がバンドリの存在をまともに認識したのはガルパ夏休みでした。それも同じ会場で期間が近いイベントに参加したからという偶然。
その頃にそんなことがあったと聞くと、バンドリに出会えて幸運だったなーと思う反面、元々アニオタでオーディオオタクまで発症したんだからもっと早くポピパに出会えていたら、なんて考えてしまいました。


今年できるようになったこと。
りみりんはチョココロネを投げられた!と御満悦。
彩沙は料理ができるようになったと宣言。得意料理はビーフストロガノフ。というかビーフストロガノフしか作れないみたいです。


愛美「次の曲で最後です!」
会話の流れからは想像できない唐突な叩き込み方で、メンバーにもツッコミ入れられてました。
この場面が衝撃的すぎて流れが思い出せません。ウェーブの直後だったか、振り返りをしてからかのどっちかだと思います。
内容的にTime Lapse直後のMC内で確定です。





9曲目『STAR BEAT〜ホシノコドウ〜』


この曲は衣装でわかっていましたが、La〜合唱が始まると高まります。
そして何より青い!会場が真っ青!
個人的にも青イメージの曲なので、幸運にも周りの様子に気がつく前にペンライトを青にしてました。
それがラスサビあたりで黄色になりました。私はちょっと遅れましたが、青と黄色は何度も往復していたのでスムーズに色を変えられました。
最後まで青の人も結構残ってました。そのおかげか黄色のペンライトは空に輝く星みたいに綺麗でした。
ステージ装飾にも星があって光ってます。
今ここにいる人達がみんなホシノコドウを聴いてキラキラドキドキしてるんだなーと幸せいっぱいの曲でした!


音はCDの印象とは少し変わります。ドラムが強めに聴こえて、爽やかさをそのままに迫力が増してます。 
キーボードが目立つ曲で、彩沙たゃんが頑張ってました。空き時間の長い曲でぴょんぴょんしたり手を振ったりしてくれる彩沙も可愛いけど、立派に演奏してる姿が見られてよかったです。
他のメンバーはカッコイイと思う時があるけど、彩沙だけはいつでも可愛いです。不思議。
スタビもライブ定番曲らしいですね。





ポピレンジャーよ、永遠に。


すぐにアンコール!と声がかかります。
いよいよ最後のポピレンジャー!
惨敗してた敵役は開き直って(?)スターウォーズに登場するシスの暗黒卿が放つフォースめいた攻撃!
意外にも強くて愛美以外は倒れてしまいます。
しかしポピレンジャーはあきらめない!
立ち上がります。
そして会場のみんなでポピレンジャーにキラキラドキドキを送ることに。
どうやって送るかって?
あるじゃないか、みんなの手にキラキラが!
思い思いの色のキラキラドキドキを手にしたバンドリーマー達の応援がランダムスターを生成。
暗黒面のフォース(?)で敵をブチのめす愛美!
無事に勝利し穏やかな日常へと戻ったポピレンジャー。
愛美「平和だなー」
……りみりんはトンファーを振り回しているけど、平和なんです。



幕間映像が完結したところでポピパが再登場!
衣装はライブTシャツでした。ライブ終了直後のメンバーのツイッターとかに上がってる写真の衣装ですね。





アンコール1曲目『ガールズコード』


6thで来るだろうとみんなが予想していた曲でした。アンコールが似合うというか、エンディングっぽい感じがします。
今回の曲の中では最もCD音源に近く聴こえる曲でした。大きい会場にスピーカーで響かせても聞き取りやすいのは嬉しいです。
ちゃんと見ていたわけではないですが、黄色を振ってる人が他の曲より多かったような。イベストですっごく可愛い沙綾が見られたからですかね?


ガールズコードは歌詞がすごく好きな曲です。ガルパのイベントストーリーを読んでいない方は睡眠時間を削ってでも読むべきです!
急に寂しくって、このまま帰りたくないって、私の方が言いたかったです。
だってもうアンコールで、初めて感じるキラキラドキドキはもうすぐ終わってしまうとわかっていて。
あと少しだけ、5分だけ夜を止めてと聴きながら願っていました。
もしかしたら、ポピパもバンドリーマーもみんな同じ気持ちだったのかもしれません。




MCその3&告知


CD3タイトル同時発売の予告のタイミングで7thライブの武道館がさらっと告げられ……これ事故ですよね?
慌てながらもなかったことになりました。
あいみんが何もなかったと言った以上は何もなかったんです!
発表内容についてはライブから時間が経ちすぎてるので割愛します。もうみんなよく知ってる。
7thライブの申し込み期限が延びたのに、今これを書いてる時点で終了間際なんですよ。


ゲストが2名も!
Roseliaから、あいあいこと相羽あいなさん!
RAISE A SUILENから、Raychellさん!
バンドリ6thライブのボーカルが3人集まりました。


改めて発表されたバンドリ7thライブ。武道館3Daysということもあり大盛り上がり。
あいあいからは「武道館に来ないとシメるわよ」が聞けました。そう言えって書いてあったから!と必死に伝えるあいあいが可愛かったです。
引き気味どころか後ずさるポピパ。りみりんとはっしーが捕獲されました。
助けを求めるりみりん。トンファーさえあれば……。
へごちんはいい匂いとか言ってた気がします。へご。
対抗意識を発揮した愛美はRaychellさんに抱きつきます。彩沙やさえチも参戦してカオス状態。
わちゃわちゃしてて何が何だかよくわかりませんでしたが、とても良い時間でした。





アンコール2曲目『キズナミュージック♪』


今までの新曲とは違い、フルバージョンそのものの初お披露目です。
アニメOPの映像が流れていた気もしますがモニターはあまり見てませんでした。
なぜかあまり記憶がなくて、なのに『キボウの道をジグザグ進もう』と『迷いの道もキミとなら行ける』の部分だけ脳裏に焼きついてます。
記憶に残せそうな精神状態でまた聴きたいです。


今回のライブはポピパがキラキラドキドキした世界に連れて行ってくれたという感覚があります。キズナミュージックで心がどこかへ飛ばされてしまったみたいです。
自信はないですが銀テープがバーン!と出てきたのはラスサビの『そんな……ミュージック』のところだったと思います。
わー綺麗だなーと、のんびり構えていたらバシバシ降ってきました。すごい!今本当に会場にいる!と本日何度目かわからない感動でした。





MCラスト


これで最後な雰囲気が出ていました。もう本当に終わってしまうんだと実感して、既にちょっと泣きそうに。
キズナミュージックは弾いてて泣きそうになってしまう曲で、それはTVアニメ2期のストーリーを知っているからだと、りみりんから期待を煽るコメントが。
限られた時間の中で新曲を4曲も練習していて本当にすごいです。
さえチ曰く、ぽぴしゃは久しぶりすぎて新曲みたいなものだとか。
愛美はガルパピコも新曲に数えていたようなので、それを適用すると実質6曲……?


みんなの言葉の端々からかなり無理をして頑張ってくれてたのが伝わってきました。
彩沙が途中で泣きそうになってて、心の中で必死に応援してました。やっぱり声優やりながら新曲山盛りのライブは厳しく、不安も大きいみたいです。
それでも、今こうしてライブを見て笑顔でいてくれる人達がいて嬉しい、だから頑張れる……みたいなことを言ってくれたような気がします。本当にアンコール始まってから心が動きすぎて記憶があやふやなんですごめんなさい。
ワンマンライブだから両国国技館に集まった人全員がバンドリが、ポピパのことが大好きなんでしょ?すごいよね!って言ってくれたのは覚えてます。





アンコール3曲目、バンドリ6thライブDAY2 「Let's Go! Poppin'Party!」最後の曲『Yes! BanG_Dream!』


夢を撃ち抜く歌。
何より特徴的なのはサビのBanG_Dream!です。ペンライトでポピパと一緒に撃ち抜くようなポーズをするんですよ!これが楽しい。
彩沙はしばらく出番がない曲で、ステージを駆け回ってピックを投げてました。かわいいです。


初心者だった彩沙のキーボード以外は全体的に目立つ曲でした。音の多さが絶妙なバランスで、ライブでも聴きやすかったです。正直なところベースのメロディーは大半の曲で追えてなかったけど、ここにきてりみりんの手の動きと音の関係が見えました。
コールもぶち上がってました。
バンドリという企画の最初の曲。現実にライブをするという特色を活かした内容で、作曲の上松範康さんは本当にすごいです。
生演奏でも真面目な顔でひたすら音楽じゃなくて、自分のパートがない間に走り回ってピックを投げるライブだから、あいみんに絡み始めるライブだから、私みたいな人間でも入り込めているんだと思います。
そういう意味では初心者だった彩沙には、バンドと声優ライブをつないで観客が置いていかれないようにするという最も重要な仕事が任されているのかも。
バンドリの、ポピパの中核はここにあると宣言するような素晴らしいパフォーマンスでした!



会場は熱気に包まれていて、私も何か声援を送った気がします。自分が何を言ったのかも聞こえませんでしたが。
次はみんなでジャンプ!
最後にLet's Go!→Poppin'Party!のコールが……全然キメられませんでした。タイミングが合わず盛大にズッコケました。
最後の最後で楽しい思い出ができたところで改めて。
Let's Go! Poppin'Party!




うろ覚え案件。あやふやな記憶、なんとなく文章に入らなかったことを箇条書きしました。



りみりんが頭にチョココロネを乗せていてさえチがツッコミ。
ポピレンジャー実況中にりみりんをチョココロネと呼ぶさえチ。
りみりんがベース弾く時は動きが激しい。
りみりんとさえチは逆サイドに来てくれることもあった。
ウェーブで張り切るさえチら。
タマの居場所を何度も微調整する愛美。
その割に扱いそのものは雑な愛美。
ポピレンジャー内でへごちんが自然体。
序盤はイチャつきつつも大人しかったのにアンコール以降めっちゃベタベタするポピパ。
ステージの飾りはランダムスターがバーン!でキーボードめっちゃ長くて星がキラキラしてた。



お家に帰るまでがライブです!



両国国技館と帰り道で撮った隅田川。

ライブの余韻に浸りながらゆっくり歩いて秋葉原まで……と思ったら。

浅草に着きました。

駅には着いたからセーフ、と電車に乗ろうとしたら違う浅草駅に入ってしまい、乗りたい路線の浅草駅にたどり着くのにまた迷いました。
前向きに考えましょう。
これは花音さんの方向音痴と千聖さんの電車が苦手、両方を体現したハイブリッドガルパ迷子体験だったのです。
道中では車に轢かれそうになったり転びそうになったりもしました。
キラキラドキドキしすぎて完全に頭がアレな人になってます。
繰り返しですが、お家に帰るまでがライブです。7thでは気をつけます!




総括


今回がライブ初参加ということで、イメージとは違う部分もありました。
座席は狭くてそんなにペンライトを振り回せない感じでした。
一方で時間には全体的にゆとりがあって落ち着いてましたね。
マナー悪い人が隣だったらどうしようかとビビってましたが、そんなに変な人はいませんでした。
彩香ー!(彩沙だった可能性も否定できない)と叫んでる人はいましたが、邪魔になるようなタイミングではなく、みんなが声援を送ってる時に一際声が大きかっただけです。たぶん悪い人ではない。


構成に関しては賛否両論。個人的にはこれくらいでちょうどいいのかなと思います。
幕間映像が長いという方がいます。実際長いです。でも楽器のセッティングやら衣装替えやらの都合を考えると、あんまり無理せずやってほしい。
初心者としては純粋に優しいペースで良かったです。


幕間映像の内容については、ちょっと微妙かもしれません。
ライブで見るとみんなで笑ったり応援したりして盛り上がります。しかしあのカオスがバンドリTVとかで流れてたら困惑すると思います。
曲紹介とか練習風景とか、もう少し無難な内容でもよかったんじゃ……と思ってしまいました。


ポピパのパフォーマンスは最高!の一言に尽きます。今までのポピパも他のアーティストも知らないから、何かと比べてという話ではないですが。
とにかくキラキラドキドキがいっぱいなステキ体験でした。


最後にバンドリ7thライブについて。


この記事の投稿が12月29日。CD抽選券での申し込み最終日です。別に合わせたんじゃなくて長々と書いてるうちにそうなってしまいました。
ポピパは2度目、RASとRoseliaは初の武道館!
両国国技館よりキャパが大きくてよかった、というのが正直な感想です。
平日開催は厳しいですが、なんとか有給を取りたいです。
私はツイッターで相方を見つけて連番を組んでみました。ひとりでは積み数に不安があるし、誰かとライブの感動を共有できたら楽しそう。
1日目のRoseliaと3日目のポピパ狙いです。
2日目の金曜は普通に仕事します(たぶん手につかない)
木曜日って遠征勢が粛正されてるレベルだと思うんですが、みんな来られるのかな?と少し不安です。
ポピパだけ休日なので、倍率エグそうだなーと戦々恐々。
TVアニメの2期の曲もやるのかなーとか、2月開催だけど夏の曲も聴きたいなーとか、絶賛妄想中の年末です。


やることはやりました。
後は祈るだけ!
7thライブ、武道館で会いましょう!!!




FitEar Roomの感想

移転してたけど、しれっと復活しました。






FitEar ROOMの概要


この製品は、ジャンルとしては『カスタムIEM』や『イヤモニ』と呼ばれるモノです。
ややこしいので当ブログでは『カスタムIEM』で統一します。ジャンル全体の特徴や注意点などは、後で詳しく説明します。


カスタムIEM業界においてFitEarというブランドは国内最大手とも言える存在です。公式サイトのクライアントリストを見れば、著名なアーティストがずらりと並んでいます。
そのFitEarが代理店を通さない直販限定モデルとして発売したのがRoomです。


お値段なんと49,800円!
耳型採取代、消費税、送料を入れても支払い総額6万円を切ります。
この価格は「高い!」と「安い!」で意見が真っ二つに分かれると思います。実際にはカスタムIEMの相場から考えれば安いはず。10万円超の猛者がそこら中に転がっている界隈なのです……。


つまり、FitEar Roomは安心感のある有名メーカーが限界までコストダウンして作った入門機という立ち位置な訳です。



そもそもカスタムIEMとは?


簡潔に書くと「耳型を採取して、それに合わせて作るオーダーメイドのイヤホン」といったところです。


人間の耳の形や大きさには個人差がある、ということはイメージできると思います。さらに同じ人の耳でも、左右で違いがあります。
試しに私のカスタムIEMを見ると、結構な左右差が出ています。



メリット

耳型に合わせて製作することで、グラついたりキツかったりすることがなく良好な装着感を得られます。
耳にぴったりフィットするので、遮音性が高いです。

デザインもある程度自由にオーダーできます。メーカーによって色選択くらいしかできなかったり、あれこれ飾りつけることができたりと様々です。文字通り自分だけのイヤホンを作れるということです。

プロのアーティストが使用する機材だったりもするので、好きな声優さんと同じモデルを買ったりできますね。それどころか公式からコラボモデルが出たりもしています。


デメリット


オーダーメイドということは、当然お値段も跳ね上がります。
同じ価格でもユニバーサルフィットの誰でも使えるイヤホンなら、買取に出した時にそれなりの額になります。しかしカスタムIEMの買取価格は雀の涙かもしれません。

加えて納期がかかります。FitEarやONKYOなどの国内メーカーは1ヶ月くらい、海外はメーカーによりますが、2ヶ月くらいはかかりそうです。
製品が耳に合わなかった場合は、メーカーにリフィットに出す必要があります。
メーカー毎に無料でリフィットできる期間が設定されているので、追加料金がかかることはそうそうないですが、何度も直すことになった方もいるようです。
海外メーカーで複数回リフィットになると、注文してから使用するまでに半年くらいかかってしまう可能性もなくはないです。

もうひとつリフィットが絡む話として、人の耳は変化するという問題があります。
購入してから何年も経つと耳に合わなくなってくる、なんてこともありえるそうです。
また、短期的に見ても、朝と夜、入浴、などの何かしらの変化で耳の大きさが変わったりもします。こちらは私の耳でも起こっている現象ですが、今のところ大きな問題にはなっていません。

試聴が難しいこともデメリットのひとつです。まず試聴できる店が少ない。試聴機は誰でも使えるように特別に作られたもので、ある程度は実機と音が変わってしまうようです。装着感に関しても、実際にどうなのかは手に入るまでわかりません。

起源やら何やら実用に影響しない詳しいことは割愛します。



音について


言うまでもないことですが、人によって音の感じ方は違うのであくまでも参考程度に。


環境はDAPがONKYOのDP-X1Aで、デジタル出力でCHORDのMojoに接続することもある、といったところです。
DP-X1Aはともかく、Mojoはちょっと特殊な音なので詳しい方はそのつもりで読んでください。

ケーブルは付属していたものをそのまま使ってます。
バランス接続には手を出してません。

極端な傾向はなく、リスニング向きの音です。
低音か高音で明確に聞きたい音がある人にとっては面白くない音かもしれません。
ジャンルはあまり選ばないですが、ボーカル曲想定で作られているような気がしました。
個人的には帯域バランスがRoomの最大の長所だと思います。
どの音も埋もれたり目立ちすぎたりしないようにちょうど良くなってます。
バランスが良いという特徴は困ったもので、それ以外に特に言えることがなくなってしまうんですよね。


解像度ではMH334、中高域の表現力や音の滑らかさではESTと、他のFitEar製品には届かない部分もあります。
価格差を考えれば健闘しているし、リラックスして聴きやすいのはRoomの方だと思うので、物足りなくなって上位機種へ……ということもないと思います。
物足りなくはないけど、それはそれとして他の機種も欲しくなるのはオーディオオタクの宿命です。


音場は狭くないです。なぜ狭くないなんて微妙な表現をするのかと言うと、あまり音場が気にならないからです。Roomという名前の通り、自然に聞けます。
音場が広いイヤホンはボーカルが遠く感じたりすることがありますが、Roomにはそれがないです。
ヘッドホンで発生しがちな耳元で鳴ってる感覚がなくて、完全に頭内定位です。



音以外の使用感、注意点


RoomはカスタムIEMの中でも特に感度が高いです。なので出力が高いアンプでなくても音量が取りやすいです。
しかし実際のところはノイズが入りやすかったり、アンプの出力が高すぎて音量のコントロールが難しかったりとデメリットの方が目立ちます。
対策としては、プレイヤー側でリプレイゲイン等の機能で音量を絞る、アッテネーターを使う、とかあります。

追記
iFi AudioのIEMatchという製品を使ってみたところ、ノイズと音量を抑えることに成功しました。中華製真空管アンプでもノイズがないです。



付属ケーブルはタッチノイズが大きく、取り回しも悪いです。でも私はリケーブルしてません。音は気に入っているし、座った状態でしか使わないので。


FitEar製品に共通することですが、本体のケーブル端子はFitEar2ピンと呼ばれる独自規格です。MMCXや一般的な2ピンと比べるとケーブルの入手性には難があります。
その代わりに、あらゆるイヤホン端子の中でも最高レベルの信頼性です。


FitEar製品共通のことがもう一点。デザインの自由度が低く、本体とフェイスプレートの色選択くらいしかできません。
機種による見た目の変化が少ないのでFitEar製品を複数購入する予定の方は、色や数文字だけ入れることができる刻印を利用して区別しやすくしましょう。

銀座にある須山補聴器でしか試聴もオーダーもできません。耳型を郵送できれば店舗に行けなくてもオーダーは可能らしいです。
イベントに出張した前例はありますが、次があるのかは不明。


装着感はとても良いです。Roomはミドルレッグシェルという構造で、他のカスタムIEMよりは耳の中に入る部分が短いので、圧迫感がないです。
本体は少し大きめで、耳を覆ってくれるので遮音性もあります。
ポータブル用途に限らず、ホームユースで窓を開けて使ったりしても細かい雑音が気になりません。
電車内ではさすがに聞こえにくくなりますが、無理に音量を上げずに使えます。
歩く時に使うのは危険だと思います。




まとめ


価格を抑えてカスタムIEMの良さを体感してもらうためのエントリーモデル、という立ち位置をしっかり実現できています。
丈夫な端子や遮音性、目立ったトラブルを耳にしないFitEarというブランドに対する信用、といった要素もあるので初心者的にはありがたいです。
最初の方に書きましたがもう一度『カスタムIEMは試聴機と実機で、ある程度は音が変わってしまう』なんてことがあるので、特に初心者はメーカー信用買いという面も避けられません。


須山の社長さんのツイッターを見ると、実はあまり利益が出ないらしいです。そして、沼への入口にするつもりがRoomで完結してしまうなんて話も……。
私もRoomが初めてのカスタムIEMですが、正直なところ他のカスタムIEMを買う必要は全くないと思っています。
ただ、それを言い出したらそもそも音楽なんて聴かなくても生きてはいける訳で。趣味としてカスタムIEMなんて代物に手を出す人種には終着点など存在しないのでは?


ここまで概ね好意的な意見を書いてきましたが、調べてみるとカスタムIEM関連でのトラブルはちょいちょい見つかりますし、普通の感覚では6万円って高いので、ユニバーサルフィットのイヤホンとかヘッドホンとか、色々と視野に入れつつ、自分に合ったオーディオ沼に沈みましょう。


追記
eイヤホンなどの販売店でも購入可能になり、値段は少し上がったようです。元が安すぎたのでやむなしかと。






























めぶあやSS『芸術的な姿勢で呪術を行使する芽吹』

めぶあや!!!



楠芽吹は自室でプラモデルを組み立てていた。集中力を養う鍛錬の一部であったこともあり、細かい部品を素早く丁寧に組み上げる。
それを後方のベッドから眺めているのは国土亜耶。何をするでもなく、芽吹に声をかけることもない。それでも毛布にくるまってプラモ製作を見守っていた。



会話がないまま時が流れた。作業は大詰め。心地よい静寂の中で五重塔は無事に完成。この後訪れる、一部の防人による大地震にも耐えるだろう。



芽吹は亜耶にも見てもらおうと振り返る。
猫が丸まっていた。正確には、猫以外に形容する言葉が見当たらない状態の巫女であった。
芽吹は思わず叫びそうになった。
こんなに可愛い生き物が地球上に存在したなんて!
もふもふの毛布にふわふわの髪が流れていた。しかも緩みきった柔らかそうな寝顔。挙げ句の果てには全身が毛布に覆われているかと思いきや、ちらちらと生足が、首筋が目に入るのだ。
その光景に正常な判断能力を奪われた芽吹は、ある決断を下す。
この天使を写真に収めよう。瞳に焼きつけるだけでは足りない。鍛錬の合間に眺めれば絶大な休息効果が得られることだろう。



行動は迅速だった。足音を立てないように慎重に鞄の中のスマホとの距離を詰める。鞄の中身を常に整理整頓していたのは、今、この瞬間のためだったとさえ思えた。
目の前に自分の存在に気がついていないバーテックスがいた場合よりも静かに素早く動けたはず。
無事にスマホを手にしたところで、重大な問題に気がついた。
芽吹には写真を撮る習慣などない。連絡事項などをバックアップ代わりに残す程度だ。つまり無音で撮影できるアプリなど入手していないどころか、その存在すら彼女は知らないのだ。 
それでも防人の隊長として、秘密裏に結成された国土亜耶ファンクラブの会長として、撤退するなんてありえない。
シャッター音が鳴るスピーカーの位置は把握している。所詮はわずか0.5秒の雑音。やれないことはない。
視界に入ったのは輪ゴム。幸いなことにプラモ部品をまとめるために箱買いしてある。雀が置いていった滑り止めシートもゴム製のようだ。
雀は何から身を守ろうとしてこんな物を?と逸れそうになった思考を現実に引き戻す。
何はともあれ、ゴム製品を二重にすれば防音にも多少は期待が持てる。
スマホの見た目は少数部族に伝わる呪具的になったが、芽吹にとっては些細なことだった。
簡易的な処置ではシャッター音が完全に消せるとは思えない。昼過ぎについ眠ってしまっただけの亜耶は多少の物音でも起きてしまうかもしれない。事実上、チャンスは一度きり。
光源も被写体も動かさず、音を立てず、呪具と化したスマホを構えて写真を撮る。それは想像をはるかに超える難易度だった。さらに付け加えるなら、人を綺麗に撮るのと紙の文字を読めるように撮るのはまるで違う行為であり、芽吹のわずかな経験は役に立たなかった。



今の感動は、奇跡は、残せないのか。
芽吹は走馬灯のように今まであったことを回想する。幼少期に見た父の背中。勇者を目指した日々。なれなかった日。防人としての毎日。何もかも、繋がっていた。
だから、きっと過去の自分が助けてくれる。冷静な頭は不可能だと言うけれど、心は折れていない。



試行錯誤の末、亜耶の眠るベッドのすぐ横に立ち、フィギュアスケートの如く反り返りながら両手を伸ばした状態で、その姿勢を維持するために片足を窓枠に乗せて呪具を構えた。
光に満ちた天使に影を落とさず、必要な角度と高度を得るにはこれしかない。
たった一度のチャンス。
シャッター音は雀でも怯えない音量だった。
やはり万全とは言えないまでも相応の働きをした輪ゴムと滑り止めシートに心の中で礼をしながら成果を確認する。



……駄目だった。今の芽吹の力量では届かなかった。不思議と敗北感はない。膝をつくくらいなら、一分一秒でも長く目の前の彼女を堪能しよう。顔を上げて……そこには、加賀城雀が立っていた。ぷるぷると笑いをこらえながら立っていた。手の中のスマホには、芸術的な姿勢で呪術を行使している芽吹。
しかし今の彼女の気を引いたのはただ一点。スマホから呪具をパージして彼女らしからぬ高速文字入力で問う。
『どうやって写真を撮ったの?』
『普通に無音のカメラアプリでだけど』
目を白黒させる芽吹の様子で、ようやく雀は状況を理解した。ここまでは並外れた生存本能だけで音を出してはならないと判断し、いつも以上に慎重に廊下を歩き、爆弾を解体するような手つきでドアを開けたのだ。



そこから先は簡単だった。雀はあっという間に亜耶を写真に収め、それは彼女の可愛らしさを存分に表現していた。
実際にはピントと画角を中心に撮影し、明るさや色彩を修正したので成功したのだが、芽吹にしてみれば魔法のようだった。 
芽吹は亜耶の寝顔を眺める。何やら夢を見ているらしく、消え入りそうな声で名前を呼ばれた気がした。思わず頬が緩む。
彼女は意識していないが、既に雀は姿を消していた。



「おはよう、亜耶ちゃん」
「おはようございます、芽吹先輩」
舌足らずな返事。亜耶は芽吹の手を取って抱き抱えた。まだ寝ぼけているようだ。残った手で頭を撫でていると急に顔が赤くなった。
「目が覚めた?」
「は、はい!大丈夫です」
キョロキョロと辺りを見渡す。
「五重塔は完成したんですね。とっても立派です」
「ありがとう。もうすぐ夕飯の時間よ」
「そんなに眠ってしまったんですね。良い夢を見ていたからでしょうか?」
「どんな夢だったの?」
「雀先輩がみかんを、弥勒先輩がカツオを、しずく先輩とシズク先輩がラーメンを、私がクッキーを持ち寄って、芽吹先輩がそれを全部入れておうどんを作る夢です。みんなでお腹いっぱい食べて幸せでした」
「……ずいぶん恐ろ、いや、愉快な夢だったのね」



「あはははは!!!こりゃヒドイな楠!」
「ちょっとシズクさん!そんなに笑ったら失礼っふふっ」
「シズク様が出てきちゃうレベルの写真も珍しいよね」
食堂のテーブルには雀のスマホが置かれていた。映し出されているのはもちろん芸術的な姿勢で呪術を行使している芽吹。
「雀。何か言い残すことは?」
「メブを怒らせるのは怖いけど、これが私の使命だったんだよ」
夕飯を食べられるかどうか心配になる程に全力で鬼ごっこを始めたふたりを、食堂は冷静にスルー。いつものことだ。
「何があったんですか?」
「簡単に説明すると、国土さんの寝顔を撮影しようと試みた芽吹さんが怪しげな儀式をしている様子ですわ」
「こ、これは……」
亜耶は肩を震わせて必死に耐えている。
「そんなに笑いをこらえなくてもいいだろ?俺たちも思いっきり笑ってるし、楠も本気で怒ってはいねぇよ。加賀城がやってんだからセーフなんだろ」
「そういう訳ではないですけど……」
ついに捕まった雀はくすぐられて悲鳴を上げている。
「丸くなったな、楠も」
「食事直前に食堂を5周も走り回る姿を見てそんなことを言うのはシズクさんだけですわ」



「あややー。食後のデザートだよ」
「ありがとうございます」
雀から食料を受け取る時、誰も中身を尋ねない。確実にみかんだからだ。
珍しいことに雀が亜耶の部屋を訪れていた。
以前は私物の少なさを恐れて無意識に避けていた部屋。現在は写真やプラモや少女漫画まである、普通の部屋。雀にとっても落ち着ける場所になった。
「メブのこと、気にしてる?」
直球は苦手だ。しかし変化球は亜耶に通用しない。
「どちらかというと、雀先輩のことです。芽吹先輩に追いかけられるのは怖くないですか?」
「かわいいなぁーあややはー」
会話が噛み合わない。
「大丈夫だよ。私はメブにかまってほしいけど、独り占めしたいわけじゃないから。あややもちょっかい出したりしていいんだよ?」
「でも……」
「メブはすっごく真面目で変なことを本気でやっちゃう人だから。周りの人が笑わせたり怒らせたりしてあげないと肩の力が抜けないんだよ。あややもメブをリラックスさせてあげてね」
「わかりました!私が芽吹先輩をからかいます!」
拳を握りしめて決意する姿を見て、迷走を確信しながらも亜耶を送り出した。雀の結論はシンプル。遠慮しがちな似た者同士なら、焚きつけてしまえば良い。



「芽吹先輩!」
「どうしたの?」
勢いで芽吹の部屋に押しかけたものの、彼女には何の策もなかった。手には雀産のみかん。これしかない。
「いきます!えいっ!」
みかんの皮の汁が芽吹の目に飛んだ。
「いたた……亜耶ちゃん?」
「お、怒りましたか?」
「いえ別に」
「そんな……」
いつだったかしずくから聞いた渾身のイタズラでも芽吹を怒らせることができなかった。
露骨にショックを受ける姿は、それはそれで可愛い。芽吹としては見たいような見たくないような。
「ふふふっ。やっぱり怒ったわ」
どう見ても笑っている。
芽吹は困惑する亜耶の手を引きベッドに腰掛けさせた。そしてくすぐる。
「きゃっ!くすぐったいですー!」
今度は頬を軽くつまんで引っ張る。
「ふふぇー。ふふひぃへー」
最後に頭を撫でる。
「えへへー」
「雀にやってるのもこんなもんよ。雀は怖がってるんじゃなくて逃げ回るのを楽しんでるだけ」
もちろん頭は撫でていないが。
「その、もし芽吹先輩が許してくださるなら、」
「ええ。いつでもイタズラしていいわよ」
「じゃあ、次は私、逃げてみますね」
「雀はともかく、亜耶ちゃんは気をつけてね。食堂とか本当は走り回ったら危ないんだから」
「はい!」
芽吹は怒っていた。こんなに純粋で元気なのに年相応の振る舞いが珍しいということに。
「亜耶ちゃんは今、楽しい?」
「とーっても楽しいです!」
弾けるような笑顔とはよく言うが、この時芽吹が心を奪われたのは他のものを全て弾き飛ばしてしまうような笑顔であった。そんな考えすら保たない。だから仕方のないことだ。理性が飛んでいるのだから浮ついたセリフのひとつも抑えられない。
「私も、とーっても幸せよ。亜耶ちゃんと一緒にいられて」

RP-HD10レビュー






概要




RP-HD10はパナソニックの密閉型ヘッドホンです。オーバーイヤー(耳を覆うタイプ)。
最大の特徴は玉虫色の50mmドライバーです。
このような見た目になるのはMLF(Multi Layer Film)という振動板によるもので、応答性や解像度の高さに貢献しているようです。
他にも磁気回路とかフレームとかが良いらしいです。
使っていて理解できる範囲では、HSアジャストという機能があります。ヘッドバンドが長さだけでなく横方向にも調節できます。他のヘッドホンが合わない人でも問題なく使えるかもしれませんね。 
スイーベル折りたたみ(ドライバー部分を回転させて平べったくできる折りたたみ方式)かつキャリングポーチ付きなのでポータブル運用も可能です。
低インピーダンスで音量が取りやすいこともあり扱いやすいです。
ケーブルは着脱式で左側の片出し3.5mmです。1.2mと3mのケーブルが付属します。 






音質について




DP-X1Aに直挿しで聴いてます。



帯域バランスは極端な傾向ではないので、そうそう嫌われる音ではないと思います。



低域は解像度の高さが目立ちます。ボンボン鳴る音ではなくシャキッとしてます。
EGOISTの『名前のない怪物』で聴き比べると非常にわかりやすいです。低域がハッキリすると空気感が減る一方でリズムが強めに出てノリよく聴けます。
量が少ないというレビューをよく目にしますが、私はむしろ弱ドンシャリくらいに感じてます。
RP-HD10は再生域の広さから高域が注目されがちですが、個人的にはレベルが高いのも好みが分かれるのも低域だと思ってます。



中域は特に言うことがないです。悪いとかじゃなくて、ヘッドホンってほとんど『中域の印象=全体的な印象』なんですよね。ボーカルに癖があるとは思いますが、ボーカルだけが特殊なのではなく全体的にそういう音です。



高域はやや多め、キラキラしてます。使い始めのは少し刺さるかも?って思ってましたが、しばらく経つと良くなりました。エージングってやつでしょうか。
『シャリシャリ』を通り越して『カリカリ』になりかねないので、ここも好みが分かれそうです。

全体としては解像度が高くて分離も良い、バランスも悪くない、比較的ジャンルを選ばないヘッドホンといった印象。
では特徴のない優等生タイプかと言うと真逆で、高い基礎能力の上に個性を乗せたタイプです。
音場は謎の広さです。抜け感が強くはない、横方向に広い雰囲気。恐らくは中高域の音が変だと言われる要因はこれでしょう。空間表現がRP-HD10の最大の弱点です。



特筆すべき点として、アタックが非常に得意なヘッドホンです。ドラムや電子音など、瞬間的な音を綺麗に出し切ってくれます。特にハイレゾ音源ならポータブル環境でも音が重なりすぎて潰れることはありません。





相性ついて




音の上流との相性については何とも言えません。DACもアンプも相性について語れる程持ってないです。
試しにノートPCに直挿ししてみたらひどい音でしたが、それは当然の結果です。
iPhone8ではそこまで悪くは感じなかったので、ポータブル向きなのかもしれません。



相性の良い曲はロック系かEDM、ユーロビートあたりが該当すると思います。前述のアタックの良さ、低域の解像度の高さが活かせます。 
相性の悪い曲は広いホールで収録したようなクラシック系だと思います。低域がハッキリしていることに違和感があったり、音の広さがヘッドホンの特性と音源の特性でぶつかり合って不思議な感じになることがあります。 






メタい話




RP-HD10はパナソニックの有線ヘッドホンの中では最も高価な機種です。最近は大きく値下がりして1万4000円程で入手できるようです。発売当初から1万円以上落ちてます。
ちなみに兄弟機のRP-HD5と比べると低域が抑えめで解像度が上がっている感じでした。RP-HD5の方は長所がそれほど強くなく、価格差を考えても断然RP-HD10の方が良いです。



後継機が発売される可能性は微妙なところです。というのも、最近のパナソニックはワイヤレスに注力しているからです。ノイズキャンセリング機能付きワイヤレスとか流行の最先端を行ってる方向です。そちらを聴いたことはないですが、もしかしたら似た傾向かもしれないので、興味のある方はそちらと比較してみてもいいと思います。 





装着感



ヘッドバンドの頭頂部のところがふかふかで頭が痛くなりにくかったり、HSアジャスト機能があったりで装着感は優秀です。
問題点としては耳とドライバーの距離が近すぎて当たることがあること、側圧強めなことでしょうか。側圧は強い分には必要に応じてティッシュ箱で調教するだけですが。
頭が小さい方にとっては大きすぎる可能性があります。私は最小状態から1段階だけ伸ばしてちょうどいいです。特別に頭が小さくもない男性でこれなので女性は少し危ないですね。









最後に



1万円代前半のヘッドホンでここまで完成度が高いものはそうそうないと思います。ただし2014年発売で安物ではないので、家電量販店なんかには置いてないこともあります。でも癖が強いので試聴は絶対にするべきです。
今はDAP直挿しですが、ちゃんとしたアンプ通すと変わるという意見もあるので試してみたいところです。



余談ですが、RP-HD10の低域が非常に嫌いだった方はゼンハイザーのHD598を聴いてみると楽しいと思います。密閉型と開放型、ハッキリした低音と丸くて量の多い低音、真逆の存在です。

ティアドロップス(ハイレゾ版)感想


ここに理想の花園ランドを作るの









最近バンドリに目覚めました。音ゲー苦手でガルパはHARDすらライフギリギリでクリアしてるレベルです。(できない曲も多い)
とりあえずポピパを聴こうとYouTubeの公式チャンネルのライブ映像を見ていたんですよ。そしたらものすごくかっこいい曲に心を撃ち抜かれました。ついハイレゾ音源も買っちゃいました。という訳で今回はPoppin'Partyのティアドロップスの感想記事です。




ティアドロップスはBanG Dream!というプロジェクトの中でも初期の楽曲ですね。ライブでも定番曲らしいです。
TVアニメでは再放送時のED曲でした。アニメ本編内の香澄のイメージとは違うカッコイイ声が聞けます。




全体の感想


低めの音や強めの音が多くて迫力たっぷり。歌い方もそれに合わせてる感じです。ただボーカル部分そのものはポピパらしさが残っていて、オケが大人しくなって可愛い系統の歌い方をしたら普通のアニソンになりそう。
YouTubeで見られるライブ映像(5th直前動画)は必聴です。





オーディオ沼的な感想


ポピパ曲の中でも有数のベースが目立つ曲です。りみりん推し大歓喜。低域の表現での差が大きいので再生環境を色々と試すのが楽しいです。



INAIR M360で聴くと、ギターとベースの音単体では物足りなさを感じました。低域の迫力も薄めです。
一方で、ドラムは他の音を邪魔せずに綺麗に聴こえます。音の分離がよく、ボーカルが聴きやすいのもよかったです。
歌い方が好きな曲なので、ボーカルを中心に聴くという点でとても良い組み合わせでした。



HD598ではガッツリ迫力がある音になりました。
ベースが強いです。ドラムはやや埋もれ気味。嫌な感じのしないドンシャリです。
それでもボーカルはよく通ります。
普段は優しくて聴きやすい音といった印象のヘッドホンですが、この曲ではむしろ全力で聴く用途になっています。



RP-HD10は個人的な最適解でした。
解像度の高いヘッドホンですが、特に低域は価格帯を数万円上げたレベルの実力だと思います。低域は強すぎないのにベースは常にしっかりと捉えられます。
ドラムなどの瞬間的に跳ね上がるような音も得意で、聴いていて気持ちいいです。
ボーカルも埋もれていません。全体的に高水準でまとまっていて是非試してほしい組み合わせです。





最後に


香澄の『この指止まれ!』『涙ゼンブあつめたら』の中毒性が非常に高いです。普段あんなに可愛いのに、高音も独特の音が抜けていかない感じなのに、ティアドロップスではちょっとキツめの声なんですよ!たまらないですよね。




実はバンドリ6thライブ2日目、ポピパ両国に参加するべくCDを積んでいます。ティアドロップスはライブでのトップバッター率が高いらしいので期待してます!

防人達の宴会

百合SS投稿はじめました。内容同じですがPixivのリンク貼っておきます

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10077678&uarea=word




楠芽吹は勇者である二次創作です。めぶあやを書こうとして失敗したのを強引に再構成しました。






加賀城雀は廊下を歩いていた。頭にみかんを乗せて。それを目撃してしまった芽吹は頭を抱える。
「……雀?いつもと種類が違う奇行をされると心配になるんだけど?」
「メブ!だって、これから一晩中お祭り騒ぎするんだよ!?テンション有頂天だよ!」
「しないわ。明日も鍛錬とまでは言わないけれど、夜はちゃんと寝るのよ」
芽吹の諫言もなんのその、雀はくるくると回り始める。
「なるほど、激しく動きながらもみかんを落とさないことで体幹を真っ直ぐに保つトレーニングね」
「メブもやってみる?」
どこからともなく取り出されるみかん。芽吹は素直に頭に乗せる。
「意外と落ち着くわね」
「うんうん、メブがみかんの良さを理解してくれて嬉しいよ」
みかんを頭に乗せた二人組がゴールドタワーの廊下を歩く。普通なら何事かと驚くべき光景だが、雀と芽吹は方向性こそ違えど防人変人ランキングのトップ争いを繰り広げているのだ。
「いつも通り変わってるにゃー」
「変わった鍛錬だね」
「魔除けのおまじないか何か?」
防人達は動揺することなく頭のみかんをつついて遊び始める。
「はい、どうぞー」
雀は直接頭の上に乗せてみかんを配布する。
「戴冠か!」
「夫婦漫才もいつも通りだにゃー」








「たった十数メートル廊下を歩いただけなのに時間がかかったわね」
「みかんを頭に乗せるとね、自然とゆっくり歩くから安全なんだよ」
「とにかく。この部屋に5人も入るんだから片付けないと」
組み立て済みプラモは既に収納してある。雀によるプラモ破損事件以降、しっかりと片付けるようになったのだ。箱のまま積んであるプラモは壁となっているので安全。
コンコン、と控え目なノック。
「入って、しずく」
しずくの手にはカップ麺と袋麺。
「約束通り。食料」
「あのー、しずく様?ひとつ激辛があるんだけど、まさか私の分じゃないよね?ね?」
「ヤサイニンニクアブラカラメマシマシ、北極、こってり、それらもまたラーメン」
「待ってお願いします助けてー!」
芽吹は微笑んで見守る。しずくが雀をからかって遊ぶようになるとは。






ドタバタ、バタン!そう形容するしかない、綺麗な衝突音が響いた。
「どうぞ、弥勒さん」
「なぜノックする前に入室の許可が出ますの?監視カメラでも?」
「消去法です。雀とシズクがここにいる以上、廊下で騒がしいのは弥勒さんだけですから」
「ああ、なるほど。……ってどういうことですの!?」
「弥勒さんが持って来たのどうせ鰹でしょ?」
「鰹出汁のラーメン食べたい」
「塩対応!」
天使が開いたままのドアからひょこっと顔を出した。
「あやや!待ってたよー!」
「国土。こっち」
「来てくれてありがとう、亜耶ちゃん」
「私との温度差!」







全員が集まったところで状況確認。今日の食料は各自の持ち込みだが……。
「私はうどん。他に食べたい物もなかったし」
「みかん!」
「ラーメン」
「もちろん高知が誇る鰹ですわ」
「芽吹先輩がうどんだと思ったので、クッキーを焼きました。安芸先生に教わったんですよ」
「「「「!?」」」」
「あのクールさでクッキー……確かに最近起こしてくれる時に甘い香りがしたような」
「毎日起こしてもらっている関係ということは、同衾でもしているとか?」
「やっぱり仲良しさんですね!安芸先生も雀先輩のことをよくお話ししてくれますよ」
「違いますー!毎朝涙目になりながら起きてますー!」
「興味深い話をしていますね」
音もなくドアを開けた安芸先生がそこにいた。
「ひぃぃ!出たぁー!」
「出た、というのはおかしいですね。私は部屋に入ったのです」
「そこ!?」
芽吹は目の前のカオス空間を平然と無視。うどんを調理するすべく黙々と準備を続けていた。
「芽吹先輩、お手伝いしますよ」
「大丈夫。厨房は予約済み。材料は全て予備がある。タイマーも複数用意したから時間管理も万全。完璧な計画ね。……いや、やっぱり念のためお願いしてもいい?」
ついに安芸先生としずくが結託して雀を壁際に追い詰めている様子を見た芽吹は、亜耶を守るため連れ出すことにした。









うどんの調理は予定通り進行している。勝手に持ち出した鰹も質が良い。
「実はちょっとだけ小分けにしてクッキーを持ってきたんです。つまみ食いができますよ」
亜耶の顔には『早く食べて!』と書いてある。自信作らしい。芽吹も落ち着いて感想など伝えられるのは今だけだと理解していた。
「じゃあ、遠慮なく」
芽吹はサクサクと食べ進める。一言も発することなく、あっという間に手持ちのクッキーを食べ尽くしてしまった。
「……ごめんね、亜耶ちゃん。おいしくて全部食べちゃった」
「芽吹先輩が幸せそうなので、私もとっても嬉しいです!」
芽吹としては気恥ずかしいところだが、そんなことよりも亜耶の愛くるしさが問題だ。抱きしめたい。しかし何も言わずにそんなことをしても心配されるだけ。珍しく宴会で浮かれ気味だったのか、これが彼女の普通なのか、斜め上の結論に到達してしまった。
「先に食べさせてもらったし、お礼をしないとね」
「お礼だなんてそんな」
優しく亜耶を抱き寄せて頭を撫でる。
「亜耶ちゃんはとってもいい子だから、いっぱいなでなでしないとね」
12センチの身長差。抱き合うのに都合が良い体格差だった。心拍数まで伝わる距離の中、長い間こうしていた。少なくとも芽吹の現実味を失った頭はそう感じた。
「あったかくて、ふわふわ、してて、ねむい、れふ」
腕の中の天使は立ったまま芽吹に体重を預けて寝てしまった。なぜだかとてもイケナイことをしているようで、急に跳ね上がった心臓が目覚まし時計になるのではないかと不安になったその時。
視界の隅。自分で持ってきたタイマーの時計に引きずられて芽吹の思考が帰って来た。5分も経っていない。
クッキーはそれなりの量があった。もしかしたら普段よりも遅くまで起きて作ってくれたのかもしれない。などと考えたところで気がついた。……これは、動けないのでは?
楠芽吹は防人である。それも最も優秀であると認められた隊長である。見事、亜耶を支えたまま料理をするという離れ業を完遂した。









今までは凝り性だから料理もこだわる、という程度だったが、今回の楠芽吹は違った。
これを食べたら彼女はどんな顔をするだろうか。
もう少し甘い方が彼女の好みだろうか。
お腹いっぱいになったらまた寝てしまうだろうか。
そんなことばかりが次々と思い浮かんでは消えていく。こんな時間がいつまでも続いてほしいような、一瞬で過ぎ去って早くうどんを食べてほしいような。
矛盾や迷いをこんなにも愛おしく思う日が来るなんて、昔の芽吹には想像もつかなかっただろう。









幸せいっぱいの笑顔を雀に激写され、亜耶が目覚めたことにより自由を得た芽吹がゴールドタワーを駆け回るまで、あと3分。現在の芽吹でも想像もつかないことであった。



秋葉原でイヤホン、ヘッドホン、DAPの試聴ができる店

秋葉原のイヤホン、ヘッドホン、DAPを試聴できるオススメの店、試聴の方法について。






前回試聴記事だったので初心者向けの紹介をします。




はじめに




試聴する意味

どんな音か確認する、ということは誰もが理解していると思います。それ以外にも装着感や実際に使う上で問題がないかどうかを調べることが大切です。私もエレコムのイヤホンでほぼ同じ形状のイヤホンを3種類試聴したところ、ひとつだけ右耳に合わずにまともに使えなかったことがあります。どうしても耳の形や大きさ、左右の差などには個人差があり、合わない製品は存在します。せっかく高いイヤホンを買うなら、後悔しないようにしましょう。




試聴する方法は?

店頭の試聴機を勝手に使います。この記事で紹介する店はどこも店員に声をかける必要のない安心システム。
スマホやDAPを持って行き、イヤホンと接続して聴いてみるだけです。
DAPを試聴したい場合はイヤホンを忘れずに。ほとんどのDAPはmicroSDカード対応なので、持ち込めば普段聴く音源で試聴できます。



注意点は3点

①音量を下げてから聴く(もしくは音楽を流してから耳につける)
理由は簡単で、いきなり大音量で再生されてしまい、耳を痛める可能性があるからです。スマホから同じ音量を入力しても、それをどれぐらいの音量で外に出すのか、出た音がどれぐらい聞き取りやすいのかによって、結果的に聞こえる音量には大きな差が出ます。
ちなみにスマホ側の音量が小さくても大きな音で聞こえるイヤホンはバッテリーの消費が少ないです。スマホ君も大きな音量を出すのにはバッテリー使ってるんです。
あくまでも簡易的な目安ですが、インピーダンスという値が低いほど電力消費が少ないです。

②通路を塞がない、鞄には気をつける。
これも理由は簡単。無駄なトラブルを起こしてもしょうがないし、周囲の音が聞こえていない状況では盗難も怖いです。

③音量を上げすぎない
地味にこれが大事です。そもそも音量が大きいと良い音に聞こえるんです。店内の放送で音楽が聞こえにくいからと調子に乗って音量を上げると、家に帰ってから微妙な音に感じたりします。かといって常に大音量では難聴まっしぐら。
対策は主に2種類。ひとつは遮音性が高いイヤホンを使うこと。カナル型、密閉型、なんて単語が目印。価格帯は上がりますが、シュア掛けという方式で装着するイヤホンは高確率で遮音性が高いです。
もうひとつはイコライザーを活用すること。こちらはスマホやDAPの機能で、音の高さ毎の音量調整のようなものです。ただ周りがうるさくて聞こえない場合ではなく、特定の聞き取りにくい音がある場合に有効です。その音がどの音域かわからなかったら低、中、高と特定の音域だけ音量を上げていって判断しましょう。






店舗紹介に入ります。と言っても有名どころ2箇所とオマケにもう1箇所だけです。なのでどれも初心者向けで入りやすい店。




e☆イヤホン秋葉原店


言わずと知れたイヤホン、ヘッドホン専門店。初心者から廃人までみんなが吸い寄せられていく。
最大の特徴は品揃え。専門店だけあって最新商品、定番モデル、中古品までしっかり揃ってます。片田舎の家電量販店では取り扱ってなかったり、ショーケースに入れられていて店員に声をかけないと試聴できないような10万円越えの高級機も1000円の製品と同じように並べられていて、自由に聴けます。最近ではBluetoothコーナーも充実したみたいです。
独特の商品配置なので最初は少し苦労するかもしれません。入り口からすぐ目の前にオススメ製品が並んでいる感じなので、初めての方はとりあえずそこで5000円以下ランキングとかをチェックすると相場がわかるかも。メーカーではなく価格帯や音の特性など、特定の分類で近い商品が同じ棚にある傾向。
店員に声をかける必要があまりないのが長所の店ですが、私レベルのコミュ障でなければ店員さんにどんなものが欲しいか伝えた方が話が早いです。予算、Bluetoothに興味はあるか、遮音性を求めるか、普段どんな音楽をよく聴くか、の4点だけ伝えれば条件に合う定番モデルを案内してくれると思います。
難点は店の場所がわかりにくいことです。秋葉原にはeイヤが3店舗あります。しかもカスタムIEM店と買い取り&修理店はほとんどの方は用がない。普通の店は雑居ビルの4階で入り口には一応表示があります。休日なら人の出入りが激しいので比較的わかりやすいです。




ヨドバシカメラ


こちらも品揃えは良いです。価格ではeイヤに負けがちな印象。店の場所はわかりやすいどころかほぼ秋葉原駅です。
メーカーが持ってる展示スペースと、ヨドバシで用意したメーカー毎の売場があるので、同じ物が店内の2箇所にあったりします。便利なようなわかりにくいような。
利便性は高いけれど、マイナーな商品になると置いてないことも多いです。中古品の取り扱いもなし。
eイヤと両方見て回るのにいい店です。




オマケに紹介

ONKYO BASE


オンキヨーパイオニアの直販店、あるいはショールーム的な存在です。
万世橋を渡った先のオシャレな建物にあります。入り口はわかりにくい(というか表示らしいものがない)ので、外から中を覗いて入ることになります。
GRANBEATのタブレット版みたいな発売前の商品も試聴できたり。カスタムIEM関連もやってるみたいです。
客が少ないのでメーカーの人と気軽に話せる感じ。オンキヨーかパイオニアの製品が気になるならここで情報を聞いてみるのが良さそうです。





まとめ


個人的にはとりあえずeイヤに行けばいいと思います。多少の入りにくさはありますが、初心者に優しい。

もちろん、これらの店以外にも試聴できる場所はあります。中古品を含めれば販売してる店なんて秋葉原のいたるところにあります。探してみるのも楽しいかもしれません。

SE-MONITOR5試聴感想

SE-MONITOR5視聴感想


先日、秋葉原でeイヤとヨドバシとビッカメとONKYO BASEを堪能しました。お目当てはシュア掛け用のイヤホンでしたが、イマイチ好みの物がなく、結局はPioneerの密閉型ヘッドホン『SE-MONITOR5』が欲しいなーと思ってあちこちで聴きまくりました。




というわけで忘れない内に感想を。
まずはハード面。サイズは大きく、重いです。密閉型で2.5mmバランス接続ケーブル付属ということでポータブル用途も想定されているようですが、あまり現実的ではなさそう。イヤーパッドはベロアタイプとレザータイプの2種類。eイヤでレザータイプ、ヨドバシでベロアタイプを試しました。個人的にはベロアタイプの方が落ち着きます。とはいえ側圧が苦手な私でもレザータイプで全然平気でした。どちらも大きめで完全に耳を覆ってくれます。接触する面積が広いからか、装着してしまえば重さも手に持った時ほどは気になりません。
こればかりは壊れる時までわからないことですが、見た目と触ってみた印象では頑丈そうでした。金属多めだからそう感じるのでしょう。
付属品は3.5mmステレオミニのケーブルが3.0mと1.6m。2.5mmバランス接続のケーブルが1.6m。キャリングポーチも付属するようです。やはりポータブル運用を意識した構成ですね。



音について。名前からしてモニターですが、本当にそんな音です。中高域寄りに聴こえます。手に取りやすい製品では、フラットな音域特性と公称されるINAIR M360に近いです。低域の量感は控えめ。シャカシャカした音に感じるかも。
解像度とか細かな音を聴かせてくれるという面では今までに聴いたヘッドホンの中で最も優秀でした。
電子音と相性が良いみたいで『Won(*3*)Chu KissMe!』を聴くと音のひとつひとつが綺麗で楽しいです。
ボーカルの表現力が素晴らしいです。特に女性ボーカル……と言いたいですが思い返すと男性ボーカルを1曲も試聴していませんでした。
『進化系Colors』はソロパートの連続からサビで一気に全員の声が重なる曲です。ソロでは声だけでなくブレスまで表現されてて臨場感満載です。サビでもちゃんとひとりひとりの声の表現と全体の声の質感を両立しています。
CDの圧縮音源でもとても良い音でしたが、やはりハイレゾ音源の方が他のヘッドホンとの実力差が出ていました。
アイマス曲のハイレゾ音源はリマスタリングを伴ったCDとは別の音源として作られています。ハイレゾ再生できるレベルの機材を用意して騒音に邪魔されない環境で楽しむ前提の音ということです。その点、密閉型のハイエンドヘッドホンは都合が良いです。店内放送で開放型ヘッドホンはまともに試聴できない状況下でもちゃんと聞けます。中高域が強く出ること、解像度と表現力が高くボーカルをメインに聴くのに向いていることもあって相性抜群といった印象。
開放型とは少し違う性質なものの、音場は広いです。音が抜けるというよりは響く方かと。
シンバルの音がザラついた音になるのは好き嫌い分かれそうなところ。
多少鳴らしにくかったですがDP-X1Aなら直挿しで余裕があります。低スペの格安スマホではパフォーマンスがどうこう以前に音量足りなくなる危険もありそうです。
本体の大きさの甲斐あって(?)タッチノイズは開放型並みに気になりませんでした。



欲しい!!!
でも10万は高い!!!
さすがに様子見ですかね。今のところは値下がり待ちか中古か、って感じです。これ買っちゃったら据え置きヘッドホンアンプだって欲しくなるし。MONITOR5が気に入ったけど高くて買えない人はINAIR M360あたりが手に届く範囲では近いと思います。モニターヘッドホン全然知らないからそっちの方が近い可能性ありますが。

あわよくば買いたい……買えそうにない。