RP-HD10はパナソニックの密閉型ヘッドホンです。オーバーイヤー(耳を覆うタイプ)。
最大の特徴は玉虫色の50mmドライバーです。
このような見た目になるのはMLF(Multi Layer Film)という振動板によるもので、応答性や解像度の高さに貢献しているようです。
他にも磁気回路とかフレームとかが良いらしいです。
使っていて理解できる範囲では、HSアジャストという機能があります。ヘッドバンドが長さだけでなく横方向にも調節できます。他のヘッドホンが合わない人でも問題なく使えるかもしれませんね。
スイーベル折りたたみ(ドライバー部分を回転させて平べったくできる折りたたみ方式)かつキャリングポーチ付きなのでポータブル運用も可能です。
低インピーダンスで音量が取りやすいこともあり扱いやすいです。
ケーブルは着脱式で左側の片出し3.5mmです。1.2mと3mのケーブルが付属します。
音質について
DP-X1Aに直挿しで聴いてます。
帯域バランスは極端な傾向ではないので、そうそう嫌われる音ではないと思います。
低域は解像度の高さが目立ちます。ボンボン鳴る音ではなくシャキッとしてます。
EGOISTの『名前のない怪物』で聴き比べると非常にわかりやすいです。低域がハッキリすると空気感が減る一方でリズムが強めに出てノリよく聴けます。
量が少ないというレビューをよく目にしますが、私はむしろ弱ドンシャリくらいに感じてます。
RP-HD10は再生域の広さから高域が注目されがちですが、個人的にはレベルが高いのも好みが分かれるのも低域だと思ってます。
中域は特に言うことがないです。悪いとかじゃなくて、ヘッドホンってほとんど『中域の印象=全体的な印象』なんですよね。ボーカルに癖があるとは思いますが、ボーカルだけが特殊なのではなく全体的にそういう音です。
高域はやや多め、キラキラしてます。使い始めのは少し刺さるかも?って思ってましたが、しばらく経つと良くなりました。エージングってやつでしょうか。
『シャリシャリ』を通り越して『カリカリ』になりかねないので、ここも好みが分かれそうです。
全体としては解像度が高くて分離も良い、バランスも悪くない、比較的ジャンルを選ばないヘッドホンといった印象。
では特徴のない優等生タイプかと言うと真逆で、高い基礎能力の上に個性を乗せたタイプです。
音場は謎の広さです。抜け感が強くはない、横方向に広い雰囲気。恐らくは中高域の音が変だと言われる要因はこれでしょう。空間表現がRP-HD10の最大の弱点です。
特筆すべき点として、アタックが非常に得意なヘッドホンです。ドラムや電子音など、瞬間的な音を綺麗に出し切ってくれます。特にハイレゾ音源ならポータブル環境でも音が重なりすぎて潰れることはありません。
相性ついて
音の上流との相性については何とも言えません。DACもアンプも相性について語れる程持ってないです。
試しにノートPCに直挿ししてみたらひどい音でしたが、それは当然の結果です。
iPhone8ではそこまで悪くは感じなかったので、ポータブル向きなのかもしれません。
相性の良い曲はロック系かEDM、ユーロビートあたりが該当すると思います。前述のアタックの良さ、低域の解像度の高さが活かせます。
相性の悪い曲は広いホールで収録したようなクラシック系だと思います。低域がハッキリしていることに違和感があったり、音の広さがヘッドホンの特性と音源の特性でぶつかり合って不思議な感じになることがあります。
メタい話
RP-HD10はパナソニックの有線ヘッドホンの中では最も高価な機種です。最近は大きく値下がりして1万4000円程で入手できるようです。発売当初から1万円以上落ちてます。
ちなみに兄弟機のRP-HD5と比べると低域が抑えめで解像度が上がっている感じでした。RP-HD5の方は長所がそれほど強くなく、価格差を考えても断然RP-HD10の方が良いです。
後継機が発売される可能性は微妙なところです。というのも、最近のパナソニックはワイヤレスに注力しているからです。ノイズキャンセリング機能付きワイヤレスとか流行の最先端を行ってる方向です。そちらを聴いたことはないですが、もしかしたら似た傾向かもしれないので、興味のある方はそちらと比較してみてもいいと思います。
装着感
ヘッドバンドの頭頂部のところがふかふかで頭が痛くなりにくかったり、HSアジャスト機能があったりで装着感は優秀です。
問題点としては耳とドライバーの距離が近すぎて当たることがあること、側圧強めなことでしょうか。側圧は強い分には必要に応じてティッシュ箱で調教するだけですが。
最後に
1万円代前半のヘッドホンでここまで完成度が高いものはそうそうないと思います。ただし2014年発売で安物ではないので、家電量販店なんかには置いてないこともあります。でも癖が強いので試聴は絶対にするべきです。
今はDAP直挿しですが、ちゃんとしたアンプ通すと変わるという意見もあるので試してみたいところです。
余談ですが、RP-HD10の低域が非常に嫌いだった方はゼンハイザーのHD598を聴いてみると楽しいと思います。密閉型と開放型、ハッキリした低音と丸くて量の多い低音、真逆の存在です。
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